タモリ

タモリ 芸能史上、永遠に謎の人物』、河出書房新社、2014


KAWADE夢ムック、文藝別冊シリーズの一冊。このシリーズはきちんとまとめてあるので、おもしろいが、読むのは大変。

この本で貴重なのは、「いまのタモリ」だけでなくて、タモリのできた過程、ジャズ・ミュージシャンとしてのタモリ、密室芸時代のタモリを幅広くカバーしているところ。タモリへの有名人メッセージの後で、「タモリ考 基礎編」、「タモリ考 ジャズ編」、「タモリ考 応用編」と3つの章に分けてある。

インタビューも、大橋巨泉のようなタモリよりずっと年長の人物や、赤塚不二夫山下洋輔高平哲郎のような初期のタモリを実際に見ている人たちが入っている。原稿の多くを書いている、樫原辰郎岸川真っていう人たち、まるっきりタモリヲタクだ。終わりの方に入っているインタビューが能町みね子というのも気が利いている。

巻頭のカラーページは、「タモリグッズ」特集だし、巻末付録の「タモリ資料集」は、著書(単著、共著とも、短文を寄稿したものも含む)、雑誌連載、LP、CDアルバム、シングルLP、VHS、DVD、司会、パーソナリティ、レギュラー出演したテレビ、ラジオ番組を資料の集まる限りでまとめた貴重な記事。これはありがたい。

全編、執筆者のタモリ愛があふれている本。ひとつひとつの記事が適度に短いのもよし。