新・夢千代日記 2話

「新・夢千代日記」2話


前回の終わりの場面、逃げる松田優作を警官が追い回していて、それに夢千代が気づく場面から。

はる家には電話がかかってきて、電話をとったおスミさんは泣いている。夢千代は泣いているわけを聞くが、おスミさんは訳を言わない。夢千代のセリフだと、おスミさんは夢千代が小さい時からずっといっしょに暮らしていたことになっているが、京都の呉服屋の奥さんだったという以外、どこから来たのか誰も知らないのだ。

おスミさんは、「息子が会いに来たのだが、自分だけでは会いに行けないから一緒に来てくれ」と夢千代に頼む。息子はおスミさんが捨ててきた子だという。

白兎では、あいかわらず田崎潤が居座っているのだが、そこに第1シリーズで出てきた、広島のヤクザ「サン商会」の沼田とその子分が来て白兎をメチャクチャにする。山倉(長門勇)は、サン商会からカネを借りていて、返済に困って夜逃げしたのだ。そこに松田優作が夢千代を探しに来て、サン商会の子分を殴り倒して逃げていく。サン商会の沼田は、田崎潤の知り合い。

おスミさんと夢千代は、煙草屋旅館に、おスミさんの息子を訪ねて行く。息子というのは、王永春(せんだみつお)。中国残留孤児だ。せんだみつお、普通に中国語を話してるが、ちゃんとした中国語になっているのだろうか。この役柄では中国語しか話せない。

おスミさんは満州開拓団の団員で、関東軍には置いてきぼりにされ、おスミさんの夫は自決。団員たちも多くは自決し、おスミさんは二人連れていた子供のうち、1人は殺し、1人は殺せなくなって連れて歩いているうちに死んでしまったという。王永春には首のところに傷跡があるという。殺したと思ったものが、死なずに生きていたのだ。せんだみつおと会っても、おスミさんは顔を合わせられない。この場面は、おスミさんの語りと、別の座敷で金魚と小春が菊奴の三味線で踊るところが交互に映っていて、泣かせる。

はる家には、アコしか残っていないのだが、そこに松田優作が逃げてくる。そこに捜索に来る警察は見つからないので去ってしまうが、はる家の人々が戻ってきても、アコが松田優作を階上にかくまっているので態度が変。それを金魚は自分の赤飯が不味かったからだと思って、アコを平手打ち。そこに松田優作が階段を降りてきたところでおわり。


この回は、中国残留孤児の話がハイライト。これを見て思い出したが、70年代から80年代にかけて、中国残留孤児は毎年のように新聞やテレビで取り上げていて、大ニュースだったのだ。

あと、このシリーズのメインの演出、深町幸男が亡くなったというニュースが、今朝、6月22日にあった。早坂暁ばかりほめていたが、それを実際に画面にしているのは深町幸男なので、こちらももちろんえらい人。「夢千代日記」は、「事件」「あ・うん」「花へんろ 風の昭和日記」と並ぶ深町の代表作だから、この人一人で80年代のNHKドラマはもっていたようなもの。