新・夢千代日記

「新・夢千代日記」1話


これは第3シリーズ。このシリーズは全10話。これまでの第1、第2シリーズは5話構成でもあれだけエピソードが詰め込まれていたのに、第3シリーズを10話にするのはよほどのこと。とはいえ、これまでの2つのシリーズを見ているので、作品の完成度には全く不安は感じない。

このシリーズには、前田純孝という明治の歌人が出てくる。これを演じているのが松田優作で、夢千代と列車に乗りあわせて、浜坂の駅で降りる記憶喪失の男と二役になっている。この男が今回のメインゲスト。

松田優作はいきなり列車の窓ガラスを拳で割り、鉄道公安に連れて行かれてから、暴れて逃げ出し、今度は警察署の藤森刑事のところに連れて行かれる。当然トラ箱行きだ。

はる家を訪ねてきたのは、夢千代の父と称する男。夢千代は自分に父はいないというのだが、男は菊奴(樹木希林)がスナックの白兎に連れて行く。夢千代は母親の位牌にもくもぐ言っているのだが、位牌は母親のものだけで父親のものはない。これも謎。

金魚(秋吉久美子)は、娘のアコに初潮が来たとあわてている。自分の娘に初潮が来たことが金魚には気に入らないらしい。アコは、母親の動揺を理解しているらしく、反抗的な態度。金魚は、「イヤな予感がする」と不吉なことを言っている。

夢千代は白兎に行ってみるが、隣のストリップ小屋にも白兎にも誰もいない。ストリップ小屋と白兎の経営者の山倉(長門勇)が消えてしまったのだ。夢千代の実父というのは、田崎潤。夢千代は父親を知らず、夢千代の母は結婚せずに夢千代を生んだことが語られる。現に田崎潤は、夢千代を見てもすぐにはわからない。

田崎潤は、有田久三と名乗り、夢千代の母親の名前を口にする。しかし夢千代は母親から、「父親は戦争で死んだ」としか聞かされていない。夢千代にも、目の前にいるのが実の父だとは確信が持てないので、どうしていいのかわからない。夢千代の母親は、1年前に死んでいた。田崎潤は、家がないとのことで、菊奴や周りの者は相手にせず、さっさと夢千代と田崎潤を引き離してしまう。

はる家には電話がかかってきて、おスミさんが電話を取るのだが、いきなり切ってしまう。電話は、中国残留孤児のせんだみつおからからのもの。これも訳ありらしい。

松田優作が警察署を逃げ出して、警察に追い回されているところで終わり。


このドラマは、最初の話でポンポン伏線を張っていて、それを後からどんどん回収していく形式。この1話だけでも、だいじょうぶなのかと心配になるくらい謎だらけの展開。それでいて、少しもダレたところがない。これまではついていなかった次回予告が、このシリーズにはついている。