ながらえば

「ながらえば」、笠智衆宇野重吉、堀越節子ほか出演、伊豫田静弘演出、NHK、1982


NHKの昔のドラマ。笠智衆宇野重吉が共演している珍しいもの。この二人が共演している作品はこれしかないとのこと。

映っているのは、昔(1982年当時)の名古屋駅と富山、富山と岐阜の県境にある猪谷。

笠智衆は名古屋にいる娘(長山藍子)のところにいたのだが、家庭の事情で居づらくなり、富山にいる息子(中野誠也)のところに移ることになる。しかし、笠智衆は病気で入院している妻(堀越節子)と離れたくない。富山に移って3日後、どうしても妻に会いたくなった笠智衆は、家を飛び出して列車に乗り、たまたま途中下車した猪谷で列車に乗りそこねて、そこの旅館に泊まることになる。旅館では主人(宇野重吉)の妻が亡くなったところで、笠智衆宇野重吉は酒をともにして、妻のことを語る、というおはなし。

笠智衆宇野重吉のやりとりは、訥々としているが、さすが名優同士で、間のとり方が絶妙。また、堀越節子と笠智衆の会話では笠智衆が涙を流す場面がある。この場面は非常にレア。笠智衆が妻に背を向けて話す姿勢が、とてもリアルに感じられる。

脚本は山田太一、音楽は湯浅譲二、演出伊豫田静弘という豪華なスタッフ。NHKはなんでも揃えている。