ツイッターってラジオだ!

吉田尚記ニッポン放送出版(編)『ツイッターってラジオだ!』、講談社、2010


新書サイズの本だが、新書ではなくて一般書。著者はニッポン放送アナウンサー。会社名が編者として入っているのは、この本が「会社の仕事として」書かれたもので、吉田尚記ご本人は著作権者ではないから。

著者の「ツイッターは、書き言葉のラジオ」という主張をいろいろな例を使って展開している本。著者がDJをしているラジオ番組は聞いたことがないので、どういうしゃべりをしているかはよくわからないのだが、この本を読む限り、伝達能力には非常にたけた人だと感じる。文中には、著者がツイートした内容が随所に吹き出しで引用されていて、ツイートの達人は、まめで、いいタイミングでツイートしていることがわかる。

この本では「ツイッターの作法」のようなものの先に、ツイッターを利用して新しい関係をつくろうよ、という著者の主張がある。悪い例、終わったメディアの標的として持ちだされているのは、当然2chツイッターのよさが実名を活かせる所にあるというのは、同意するが、ツイッターは互恵的な関係を作る、ツイッターは利他的、「承認する力」を与え合うメディア、といったようなツイッター賛歌が続いて、その正反対の対象として2chを出してくるという手は、かなり鼻白む。現にツイッター上のケンカは頻発しているし、ツイッター上のケンカは、これはこれで役に立っているのだ。

「不信と競争から、共感と協業へ」という最後の章は、ツイッターに夢見過ぎ。社会に期待を持ちすぎ。著者は「いい人」がツイッターをやっているとか、さらには「ツイッターは悪人を淘汰する」とか、真剣に思い込んでいるのでは?