101年目のロバート・キャパ

「101年目のロバート・キャパ 誰もがボブに憧れた」、東京都写真美術館、2014.3.31


東京都写真美術館でやっていた、この展覧会、ロバート・キャパの写真は「崩れ落ちる兵士」以外ほとんど知らないので、どんなものかと思って行ってきた。キャパの生誕101年記念の展覧会。

この美術館自体、行くのは初めてなのだが、目黒駅と恵比寿駅のほぼ中間点にあり、歩いても大した距離ではないのだが、この日は雨。けっこう降っていたのに、美術館に着いてみたらけっこう人がいた。このご時世に写真専門の美術館に客ってそんなにいるのか、と思っていたが、そんな考えは浅かった。

フロアごとに別の展覧会がかかっていて、同時開催されていたのは、「黒部と槍 冠松次郎と穂苅三寿雄」と、「没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖」。写真のことはまったくわからないので、この人達の位置づけもわからない。時間があったら他の展覧会も見たのだが、キャパを見る時間も1時間半もなかったことと、キャパの展覧会を見るだけで1100円、他の展覧会は700円(セット券割引あり)かかるので、キャパだけ見て帰ってきた。今考えればもったいないことをした。

キャパの展覧会は、キャパの写真の中から、「崩れ落ちる兵士」のような有名作品だけでなく、比較的ユーモラスな味のある写真や、プライベートな写真を集めたもの。

スペイン内戦で、空襲警報の中を逃げようとする母娘や、前線に出る前に恋人に別れを告げる兵士など、よく被写体を見ている。さすが本家戦場カメラマン。

さすがだと思わせるのは、ノルマンディー上陸作戦の現場をオマハ・ビーチで撮影した写真。撮影の角度は、陸地を背にして、海から上陸してくる兵士を撮っている。これはドイツ軍の砲火が炸裂しているところを自分が内陸側、つまり一番危ない場所に行かないととれない。これは危ないわ。こんなことをやっているうちに、インドシナで地雷を踏んで死んだわけだから、やはり因果な商売だ。

キャパはモテモテだったので、イングリッド・バーグマンや、「キャパ」のペンネームの名付け親だったゲルダ・タローの写真、それに友人だったヘミングウェイピカソスタインベックの写真もある。

生前のキャパと知り合いだった編集者、ジョン・モリス(97歳)のインタビュー映像が館内で流れていたが、このおじいさんがまた非常にいい味を出している。

この展覧会の写真は、ほとんどが東京富士美術館からの借り物。この美術館にも行ったことがないのだが、ちゃんといいものを持っているのだ。八王子は遠いので行き損なっていたが、こっちにも機会を見つけていかなければ。