平櫛田中彫刻美術館

平櫛田中彫刻美術館」、2014.3.29


ちょっと時間ができたので、小平市にある、この美術館に行ってきた。中央線の国分寺駅で降りて、西武多摩湖線に乗り換える。次の一橋学園駅で降りて、10分弱、てくてく歩くと、住宅街の真ん中にある。ここでうっかりして西武国分寺線に乗ってしまうと(ホームを間違えやすい)遠い方に連れて行かれてしまうので用心しないといけない。

美術館は、もとの平櫛田中の私邸を美術館に仕立てたもので、展示館もあるのだが、私邸がそのまま保存されている。展示館も、私邸も落ち着いた、いいところ。もっとも平櫛田中の家はずっと上野の近くにあり、小平市に引っ越してきたのは、奥さんの具合が悪くなってからの晩年10年間のこと。

展示品は、彫刻については、あまり大作はなく、小品中心。田中の遺族が寄付した作品からなっているので、そんなに大きな作品はないのだ。それでも、岡倉天心に認められるきっかけになった「尋牛」、その岡倉天心を胸像にした作品、旧藩主の浅野長勲をモデルにした「霊亀随」、最晩年の「五十鈴老母」など、重要作品が並んでいる。

また、彫刻だけでなく、田中の墨跡が多い。有名な「いまやらねばいつできる わしがやらねばたれがやる」も、その他も能筆。

公開している旧宅は、きれいな庭に、きれいな部屋。居心地よさげ。田中は玉川上水が見える、この場所がよかったのだという。90歳代の後半になり、功成り名遂げてから建てた家なので、立派なのはあたりまえ。敷地の隣に平櫛姓の立派なお家があったので、親族はそちらに住んでいらっしゃるのだろう。

田中の大きい作品は、岡山県井原市にある美術館においてあるので、そちらに行けば見られる。ここには、田中が100歳を過ぎてから、作品制作の材料として購入したという大木の幹があるが、この木は30年分の材料を取れるようにサイズを考えて買ったという。実際巨大な木。実際には100歳の時に最後の作品を作って、その後の制作はないのだが、やる気はありすぎるほどあったらしい。大家は気合が違う。