柳家喬太郎独演会

柳家喬太郎独演会」、広島県民文化センター、2014.2.19


この公演は直前まで知らなかったので当日券で入った。チケットがあるかどうか心配だったが、どうということはなく、余裕で入れた。広島だと、落語好きな人はそのくらい少ないということ。このホールは、だいたい500人くらいの収容力で、8割弱は入っていたので、400人に足りないくらいの客数。

最初に柳家喬太郎ご本人が出てきたので、あれ?と思ったら、喬太郎師匠は1番目、3番目、4番目の3題を語り、弟弟子の柳家喬之助が2番目に語るという構成。噺は、1番目が「饅頭こわい」、2番目が「仏馬」、3番目が新作、休憩後に4番目が「うどん屋」。

「饅頭こわい」は、これで時間保つのか?と思ったが、このくらいの人だとこの噺でもちゃんと30分語っている。しかし、噺自体がそんなにおもしろくないので、柳家喬太郎にはやや役不足のような気がする。枕には今週の大雪や、作曲家代作事件といった最近の話を仕込んで笑わせていた。

「仏馬」は、聞いたことがない噺。これはすっかり廃れていた噺を喬太郎が復興したものらしく、知らないのも道理。演者の喬之助は、それなりに上手いと思うが、これも噺自体がそんなにおもしろくない。復興するほどの価値があるとも思われないが。

3番目の新作は、中学校の保健室に来た生徒がやたら老人みたいな口調なのに、そこに中学生みたいな口をきく校長先生が現れ、保健の先生ととんちんかんなやりとりをする、というもの。中学生、校長先生、保健の先生の3人の演じ分けが腕の見せ所になっている。これはけっこうおもしろかった。

うどん屋」は、これも初めて聞いた噺。うどん屋がうどんを作るときの細かい所作や客がうどんをすする時の所作がポイント。これはさすがにうまい。細かいところで演者の腕が問われるような噺。冬の寒い時に流しのうどん屋が変な客にあたる噺なので、この季節に合うようにという配慮もあるのだろう。

枕の部分で客を笑わせて、噺の部分でテクニックを見せるという落語会。喬太郎が上手なことはわかっているのでそれはそれでいいが、ネタがもっとおもしろいとよかったのに。中国地方では広島以外はあまり公演はしていないと言っていたが、また来てくれるといいな。