市馬 そこつの釘

「そこつの釘」柳亭市馬


市馬の「そこつの釘」を聴いて見た。大工夫婦が引っ越しを終えたところから話をはじめている。18分くらいだが、ちょうどいい長さ。

下げは、「時々われを忘れます」という普通のものではなくて、「大変なことになりました。明日からここまで箒をかけに来なくちゃいけない」と大工が言っておしまい。下げが決定的に重要な噺ではないので、これはこれでアリ。

市馬の語りは、大工が女房とののろけ話をするところの楽しげでまぬけな雰囲気と、そこで歌い出す鼻歌がよく、特に歌は脳天気な感じで、かつうまい。音曲噺でなくても、歌がうまくできるとバリエーションが広がっていいことがたくさんあるのだ。

この人は歌のCDも出しているし、「柳亭市馬の懐メロ人生50年」という題で本も出している。本はおもしろそうなので、今度買ってみる。