ポップス作曲講座

林哲司『ポップス作曲講座』シンコー・ミュージック・エンタテイメント、2013


林哲司のラジオを聴いているので、この秋に出た林哲司の本を買って読んでみた。

これは林先生が、「作曲を始めてはみたが、なかなかいい曲ができなくて困っている人」を対象にして、作曲のノウハウを語る本。したがって、まるっきり音楽に触ったこともないという人のことは想定していない。しかし林先生の立場は、難しい音楽理論の勉強から入らなくても、音楽は作れますよということなので、なるべく作曲を志す人の敷居を下げることに注意を払っている。

特に、DAWソフトが出てきて、これを使って作曲の面倒さが非常に軽減されているので、これを上手に使って作曲をやりやすくする方法がていねいに説明されている。

読んで行くと、プロの作曲家がどういうことに気をつけて仕事をしているかが、林先生自身の経験をベースに語られていて、説明もヒット曲を使って、作曲家の気づきを読んでいる人に追体験させるように書かれている。簡単な音符が読めれば、あるいは読めなくても昔のヒット曲を知っていれば、曲を売り込むためのポイントをどうつくるかを理解できるようになっている。

作曲を自分ではしないという人でも、音楽をていねいに聴くための手引きとして役に立つ本。特に最後の章では、「悲しい色やね」「悲しみがとまらない」「SEPTEMBER」「北ウィング」「ふたりの夏物語」「真夜中のドア」といった林先生のヒット曲ができたプロセスが語られている。