夢千代日記 3話

夢千代日記」3話


前回出てきた、金魚(秋吉久美子)の心中相手の母親と妻が、金魚の子供は自分たちの子供だから引き取らせろ、と警察署の課長(中条静夫)のところにねじ込んでくる。吉永小百合は仕方なく金魚を連れてくるのだが、意外や意外、金魚と心中した男は前日山陰線の列車の中で乗り合わせたばかり。名前も聞かず、身の上話もせずに、その翌日、一緒に海に飛び込んだ。しかも子供は金魚の子供ではないという。わけは言いたくないので話さない。結局死んだ男の母親と妻はそのまま帰っていく。

前回、置屋の軒先でぶっ倒れていた林隆三は、ひどい胃潰瘍ということで入院。これじゃ捜査どころではない。相変わらず、中条静夫とはそりが合わない。

旅役者の一座が来たことで、はる屋の芸者たちは浮足立っていて、特に樹木希林は一座の若い役者に入れ込んでいる。

湯里温泉に、広島からヤクザがやって来た。ヤクザの前で踊る吉永小百合。掃き溜めに鶴とはこのことで、秋吉久美子含めて、美しさのレベルが違いすぎでしょう。後は、楠トシエ樹木希林大信田礼子だし。ヤクザの親分、吉永小百合に「いくらで寝るんだ」と尋ねて「そういうことはいたしません」とサクッと断られる。この親分役が草薙幸二郎。なつかしい。

吉永小百合は最初から体が悪そうだったが、「わたしの命はあと三年」と言っている。そんな人が置屋の女将とはいえ、まともに動いているのがふしぎ。このドラマ、吉永小百合だけではなくて、心中の片割れ秋吉久美子胃潰瘍で死にそうな林隆三、死の影ばっかりだ。そこが味になっているのだが…。

ファンタジーだが、ぜんぜん明るくないファンタジー。しかし悲劇性をことさらに言い立てるのではなく、暗さの中に少しだけ救いがあるようなおはなし。すべてのレベルが高いが、吉永小百合の存在感は圧倒的。この作品があるから今日の吉永小百合があるようなものだが、そのことにも納得。