第52回日本SF大会こいこん 第1日

「第52回 日本SF大会 こいこん」、アステールプラザ、2013.7.20


今年のSF大会は広島。で、「こいこん」。前に広島でSF大会を開催してから16年ぶりとのこと。時間がたつのは早いわ。場所はアステールプラザなので、家から行きやすいからとても便利。これがリーガロイヤルホテルだったりすると、自転車かバイクをとめるのが面倒なのだ。

高い参加費を払っているので、分科会にも星雲賞発表にもしっかり出てきた。

午後1回目の分科会は、「あなたの知らないクラシック特撮」(山本弘開田裕治)に出た。これはレアなものを見せていただいた。20世紀前半に撮影されて権利が切れている大昔の特撮映画(当然洋物)を会場で流しながらトーク。出てくる怪獣は本物のトカゲだ。トカゲ同士が噛み付きあうバトルがそのまま映画になっているが、これがちゃんと映画としておもしろい。お金のかかっていないチープ特撮とは全然違う。感動したのは、飛行機映画。これはミニチュア特撮ではなく、本物が飛んでいる。しかも墜落シーンもワンカットで撮影していて、明らかに本物が墜ちている。これは感動した。リアルの極致だ。

午後2回目の分科会は、「帰ってきた本屋パネル」(小浜徹也榎本秋、木原浩貴)。編集者、作家、本屋志望の3人のトーク。最近の出版事情の紹介である。当然景気のいい話はぜんぜんなく、電子書籍も売れているのはエロと一部のコミックだけだという。本の断裁とか、回転率の上昇で店頭に置かれる期間や在庫期間がどんどん短くなっていることとか、知ってはいるが聞いていてつらい話。

星雲賞授賞式だが、今年の受賞作はこれ。

日本長編部門(小説)
屍者の帝国
円城塔 伊藤計劃
河出書房新社

【日本短編部門(小説)
『いま集合的無意識を、』
神林長平
早川書房『いま集合的無意識を、』収録

【海外長編部門(小説)
『アンドロイドの夢の羊』
ジョン・スコルジー/内田昌之
早川書房

【海外短編部門(小説)
『ポケットの中の法ダルマ』
パオロ・バチガルピ/金子浩
早川書房『第六ポンプ』収録

【メディア部門】
モーレツ宇宙海賊パイレーツ』

【コミック部門】
『星を継ぐもの』
星野之宣


【アート部門】
鶴田謙二

【ノンフィクション部門】
情報処理2012年05月号別刷「《特集》CGMの現在と未来: 初音ミクニコニコ動画ピアプロの切り拓いた世界」

【自由部門】
事柄:iPS細胞

というもの。『屍者の帝国』はやっぱり読むかなあ。


夜の分科会は、「SF軍事解説 岡部いさく軍事監修の仕事」(岡部いさく、吉川卓)。これが3つの分科会では一番人数が多く、満席、立ち見状態。岡部いさく氏が本業とは別に、アニメ、映画、マンガの監修その他でしてきた仕事を語る会。岡部氏はイギリス・ファンで、一番好きなのはモスキートとスピットファイア。これは「633爆撃隊」と「空軍大戦略」の影響だとおっしゃっていた。映画で軍事監修を依頼される時は、たいてい最初からではなく、ある程度企画が進行している段階で呼ばれるので、「これはおかしいでしょう」と言っても、監督の撮りたい画面というものがあるので、あんまり突っ張れないそうだ。「スカイ・クロラ」に出てくる爆撃機垂直尾翼が機体の下に伸びていて、こんな飛行機では離陸も着陸もできないと言ったが押し切られたという。実写版「宇宙戦艦ヤマト」からお声がかかったが、これはさすがに断ったそうだ。

1日中、ちょっと居眠りしたものの、全然疲れなかった。明日もたのしみだ。