私の見た沖縄経済

沼波正『私の見た沖縄経済 ある日銀万の沖縄へのラブレター』おきなわ文庫、2000


著者は1998年から2000年まで日銀那覇支店長。この本は、支店長時代に書いたエッセイをまとめたもの。

著者の結論は、沖縄経済の「3K」つまり基地、公共投資、観光のうち、基地と公共投資にはもはや伸びしろはなく、沖縄経済は観光に注力せざるを得ないというもの。しかし、沖縄は本土からの観光客の滞在期間を伸ばし、お金を落としてもらうことにあまりにも力を入れていないという。

また人材育成も努力が足りない分野であり、特に英語教育を集中的に行うことが重要だと言っている。

いちいち非常にごもっともな意見で、基地縮小と本土依存からの脱却を言うのであれば、結局残るものは観光しかない。それにしては、いかにも団体観光客向けの大きな土産物店や、テーマパークのようなものばかりが目立ち、個人客をリピーターとしてひきつけるものに欠けている。観光客の集客に真剣に取り組むのであれば、英語と中国語の教育により資源を投入すべきだというのは、素人でも思いつく。

沖縄県が免税特区を要望しても受け入れられるとは思えないが、英語教育特区なら十分国が認める余地はあるだろう。ただでさえ失業率が高いのだから、自力での工夫が必要であることは論を待たないと思うのだが。