うっかり鉄道

能町みね子『おんなふたり、ローカル線めぐり旅 うっかり鉄道』メディアファクトリー、2010


この本を読むまで能町みね子が鉄オタだとは知らなかった。ご本人は「テツ」ではなくて、ただの鉄道ファンだとおっしゃっているが、関東地方のJRと私鉄の路線図をそらで描けるのだから、そこそこの鉄道ファンであることはまちがいない。

この本は、編集者と二人で鉄道をまわるという企画だが、最初に行っているのが、鶴見線というところが自分としてはポイント高い。国道駅の建物のどこにどういうお店があるかをちゃんとチェックしているし、焼き鳥屋「国道下」で焼き鳥も食べている。うらやましい。行くときも、ただ鶴見で乗り換えるのではなくて、川崎から南武線で尻手まで、そこから南武支線八丁畷京急に乗り換えて花月園前、そこから歩いて国道に行っているのだ。花月園前と国道が歩いて5分とは知らなかったわ。

これ以外も、岳南鉄道肥薩線ゆいレール、宗谷本線・留萠本線江ノ島電鉄京葉線土佐電気鉄道、関東一円の「八のつく駅」に平成8年8月8日に訪問と、北から南まで、それもポイントの高いところをちゃんと回っている。著者は、鉄道に乗るだけでなく、駅舎や鉄道周りの風景も楽しむ人なので、そこもきちんと押さえている。

編集者はテツではないので、連れ回されているだけだが、能町みね子がいつものテンションで鉄道に入れ込んでくれているところがうれしい。三江線にも乗りたいと言っているので、またこの企画で本を出してほしいな。