戦場の都市伝説

石井光太『戦場の都市伝説』幻冬舎新書、2012


戦場のうわさ話集成。あくまでうわさ話なので、それぞれのエピソードに解説がついていて、この話がどういう経緯で生まれたのかということが書いてある。

中身は、「ナチスユダヤ人の脂肪で石鹸をつくっていた」「ウガンダのアミンが殺した死体をビクトリア湖に投げ込んでいたので、巨大魚が現れた」「南京大虐殺の死人の幽霊で長江がせき止められた」とか、そういう話。基本的には怪談話が多い。まあ、戦争で死んだ人をネタにしているのだから、そんなもんでしょう。

怪談ではあるが、元ネタは戦争とか虐殺だから、気持ち悪さは倍増している。食欲のなくなる話が多いので、食事を減らす目的にはいいかもしれない。とりあえず読後感はよくない。そういう話をわざと集めているのだから、執筆目的は果たされていることは事実だが。