極上アンティークお宝映像発掘!「ムカシネマ」

極上アンティークお宝映像発掘!「ムカシネマ」、NHKBSプレミアム、2013.3.30


BSプレミアムでやっていた、「昔のホームムービーを編集して流す」番組。見るつもりはあまりなかったのだが、あまりにおもしろいのでチラ見してしまった。出演者は、爆笑問題伊集院光市川実日子

ほとんどは、戦前のホームムービー規格9ミリ半のカメラ、「パテーベビー」で撮影されたもの。これをちゃんと収集している人がいて、アーカイブがあるのだ。

いろいろと変な映像が映っていたのだが、一番笑えたのは、御年90歳の大倉財閥当主、大倉喜八郎が、大行列を引き連れて赤石岳に登る映像。大倉喜八郎はもちろん自分の足では登れないので、輿に乗っている。医者とか、料理人とか、新聞記者とか、いろんな人が苦労して登っていくところはもう笑うしかない。200人いたらしい。男爵様が「豆腐が食べたい」とおっしゃったので、下から豆腐職人と石臼を持ってきて、山の上で作って食べたのだそうだ。この山、3000メートル級の高山なのだが、男爵様が登られるというので、道までつくったとのこと。

大リーグの日本遠征とか、文豪たち(菊池寛やら、芥川龍之介やらいっぱい映っていた)、大隈重信、山梨ではじめてワイン醸造を始めた人、セレブなみなさんが多数映っていたほか、ふつうの人の日常みたいなものもたくさんあった。番組中で、伊集院光が、「すべての場所のあらゆる風景を記録出来れば、それ自体がタイムマシンで、昔の映像発掘はこのタイムマシンの部品を集めているようなもの」と言っていたが、まったくそのとおりだと思う。今のテクノロジーと、記録媒体の容量を考えれば、できないことではなくなっているのだ。

この9ミリ半のカメラと映写機はけっこうな値段がしたはずだが、中産階級なら持てたのだろう。他にも、蓄音機を利用して見る、アニメーション(というよりパラパラマンガみたいなもの)とか、おもしろいものがたくさん映っていた。NHKはあまり宣伝もしないのに、たまにこんなものを流しているので油断できない。