俺たちの朝 1話

「俺たちの朝」1話、「お前と俺ともうひとり」


いくつかのエピソードは見ているのだが、まだ全話見たことがない、「俺たちの朝」。自分としてはより暗い「俺たちの祭」にひかれるのだが、このドラマが名作であることは疑いない。全話録画したものの、見る余裕があるかどうか。

1話は、登場人物の紹介と、オッス(勝野洋)、チュー(小倉一郎)、カーコ(長谷直美)が同居をはじめるまでの顛末。オッスはアパートの住人のツナギ(森川正太)とケンカしてアパートを追い出されてしまい、チューといっしょに家財道具をリヤカーに積んで、新しい住処を探して町をウロウロしている。ここで映っているのは目黒駅。

トラックで引越し途中の、ヌケ(秋野太作)とツナギに偶然会って、ヌケは自分の知り合いの家の離れが空いていると2人を誘うが、そこは鎌倉。10時間かけて鎌倉までリヤカーを引いていくと、大家(穂積隆信)から、離れにはもう女子大生2人が入居することに決まってしまったと言われる。

荷物は持ってきたのでどうにもならない2人だが、早速女子大生の1人カーコ(長谷直美)から下着泥棒の嫌疑をかけられてケンカ。そして急にカーコの友達が入居できなくなってしまい、空いたスペースにオッスとチューが住むことになる、というおはなし。

カーコははっきり自己主張する女なので、女はしとやかにしろと思っているオッスとは何かにつけて衝突しているのだが、この「同居はしているが、恋愛関係にはならない」という設定が当たりだ。カーコの勝気、オッスの融通のきかない男らしさ、チューの弱気というキャラ設定が生きている。

さりげなく、オッスの家庭環境(父親と母親が別居、妹は母親と同居)、チューの家庭環境(姉と弟だけの家族。姉の日色ともゑが母親代わり)に言及があり、今後の伏線になっているところもちゃんと組み込まれている。この回の脚本は鎌田敏夫

このドラマは、ラストシーンに必ず詩が出てくる。今回は、
「淋しくなって
海へ来て
ただ沖を見て
坐っていた
あれは青春の
まがりかどの日」
というもの。昔はこのポエムが見ていて恥ずかしかったのだが、リアルタイムで見ていた人にはこれがきいたのだろう。この頃は「若者が恥ずかしがらずに詩をつくる」という慣習があったのだろうか。