スターシップ・トゥルーパーズ3

スターシップ・トゥルーパーズ3」、キャスパー・ヴァン・ディーン、ジョリーン・ブラロックほか出演、エド・ニューマイヤー監督、アメリカ、南アフリカ、ドイツ、2008


スターシップ・トゥルーパーズの3作目。監督は1作目、2作目の脚本を書いているエド・ニューマイヤーで、本作では脚本、監督を両方担当。エグゼクティブ・プロデューサーは、ポール・バーホーベンなので、2作目に比べると1作目に近いテイストがかなり出ている。

1作目の主役、ジョニー・リコがまた戻ってきてこっちでも主役。大佐に昇進していて植民惑星の司令官。そこに連邦軍の総司令官がやってくるが、電磁ブロックが破れていきなりバグズが攻めてくる。総司令官は逃げ出すが、船を破壊されて他の惑星に脱出船で漂着。一方リコは、敗戦の責任をとらされて処刑されかかるが…という出だし。

戦争が長引いていて、市民には厭戦気分が充満。戦意を下げるような反戦運動は利敵行為なので、関わった者はかたっぱしから死刑である。1作目で頻出した「地球連邦放送」がまたしつこく出てきて、「もっと知りたいですか?」が連発されるのでかなり笑える。1作目はナチのパロディだが、こっちはその要素に加えて、現実の戦争を戦っているアメリカのパロディがかなり入っている。共和党支持の人は見たら怒るだろう。バーホーベンの名前が出ただけで見ないだろうが。

漂着した総司令官一行は、連邦軍司令部から見捨てられそうになるのだが、そのことを知った兵士が情報を漏らしたので、救出部隊が送られることになる。指揮官には、処刑を免れたリコが任命されるが、派遣されるのはわずかに7人。しかしこの7人には新開発のパワード・スーツが与えられるのでした。

総司令官は歌手で、「今日は死に日和」というふざけた歌を歌いまくっているスター。この歌は全編に流れているが、これもブラックな歌詞で、けっこうおもしろい。この総司令官が、味方に見捨てられかけた可哀想な役だと思っていたら、実はバグズに精神を侵蝕されて、敵に通謀していたということになっていてややこしい。

最初は宗教は戦争の邪魔だから弾圧すると言っていたのが、終わりには信仰は戦争のためになる、ということになり、連邦軍はほとんど十字軍みたいになっている。あからさまなブッシュ政権への皮肉。

肝心のパワード・スーツの見せ場が少ないとか、脚本の組み立てにちょっと難があってわかりにくいところがあるとか、文句をつければつけられるのだが、自分としては結構笑えたので見られてよかった。アニメ版の続編((スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン)が去年公開されているそうだが、そっちにはこのブラックなテイストは入っているのだろうか。予告編を見た限りでは、かなり安く作っている感じだが。