路上観察学会 トークショー

路上観察学会 トークショー」、藤森照信林丈二南伸坊松田哲夫広島市現代美術館、2012.1.27


これは日曜日に現代美術館で開かれたトークショー。先週末から始まったばかりの特別展「路上と観察をめぐる表現史―考現学以後」の付録企画。広島に路上観察学会の面々が勢揃いするのは、たぶんこの時しかないので、午前中に出かけて整理券を取ってから行ってきた。赤瀬川原平がいないのはざんねんだが、まあしかたがない。

このトークショーは130人分の席があったのだが、満席で10人以上は立ち見。それでも余った人は会場外のモニターで様子を観察していた。整理券とっておいてよかった。2時間あまりのトークを立ち見はしたくないわ。

トークは、スライドショーをネタにして4人がツッコミを入れていくというもので、前半は6日前から広島に来て現地のネタを集めていた、林杖二と松田哲夫の写真をもとにしたトーク。後半は路上観察学会の「古典写真」を赤瀬川原平のものも含めて紹介しながらトークする。

新作は、さすがに「古典」までのインパクトはないが、それでもよくこんなものを拾ってきたなーとびっくりするような写真が連発されていた。現代美術館の近所の比治山やら、ちょっと離れた太田川沿いやら、旧陸軍被服廠やら、いろんなところに行ってネタを拾っている。達人は短時間でもちゃんとネタを拾えるということに感嘆。

古典のほうは、さすがに名作揃い。赤瀬川原平の写真は特に強烈。ほとんどの作品は路上観察学会ができた1986年からそれほど間がない時期に撮られたそうで、観察者の眼力がその時期に絶頂だったらしい。

このスライドショーでわかったのだが、路上観察は、本で読むより、トークショーで見るのがずっといい。もちろん、路上を歩きながら、「ライブ」で見つける場に参加するのが一番おもしろいのだろうが、それでも写真を見ながら漫談みたいにメンバーがツッコミを入れていくのを見るのがおもしろい。字になってしまうと、たぶんこのトークショーのおもしろさは半分くらいになってしまうような気がする。それにつけても赤瀬川原平が来なかったのがおしまれるところ。

この展覧会の企画では、2月半ばに大竹伸朗都築響一のビッグ対談もあるらしいので、それも必ず行かねば。

それにしても、このトークショーは満員で、現代美術館のこの種の企画で立ち見が出るようなことは見たことがないから、それはいいとしても、広島市の人口は110万人くらいはいるのに、これだけのメンバーが揃ったトークショー、しかも展覧会のチケット代だけでお金はとらない企画なのに、160人くらいしか人が集まらないということがある意味おどろく。同じ企画を東京でやったら、1000人くらいは余裕で来ると思うが。人口比で考えればしかたがないのか?それにしても、田舎で芸術が人を集めるのはむずかしい。