赤い糸の女 38話

赤い糸の女」38話


唯美が売春していた過去を、栃彦に暴露する芹亜。
「女房が売春婦だったなんてショックでしょうけどね~、そういうかわいそうな過去がある人だから、大事にしてあげて欲しいと思ってるのあたしは。 」
「事実は事実なんだから、あなたも知っておいた方がいいでしょう? 」
「その上で、大らかな愛で唯美を包んであげればいいんじゃないの? 」
「唯美が売春をしてたことは紛れもない事実です!あたしが客を斡旋してたんだから。 」
「最初は抵抗感もあったようだけど、一ヶ月もするともう立派な売春婦。フフ、フヘヘヘハハハ 」
「栃彦さん!女の体ってよくしたもんでそういう風にで来てるのよ~! 」
「毎晩毎晩男と寝たからってそれはそれ…夜の顔と、昼間の顔を、な~んの矛盾もなく使い分けることが出来るのよ」
「あ、でも、斡旋料ではすごく揉めたこともあったわね! 」
「赤い糸で結ばれた、切っても切れない関係よ。…買い物依存症の挙句の借金地獄から、救い出してあげたんじゃない。 」
「売春なんて紀元前の昔から存在してる職業でしょ?おかげで三ヶ月で借金は完済できたの。 」
「唯美はもちろん、すぐさま売春から手を引いたわ。これだけは唯美の名誉のために言っときます!」「何が名誉のためだ!!」 
「これが嘘も隠しもない事実なんだから…唯美を愛してるなら、これくらいの過去は多めに見てあげなさいよ。」
「だから!あなたたちの夫婦関係がより深くなればいいと思って。 」
「昔は女郎屋の女を足抜きさせて女房にする男もいたのよ? 」
「妻の過去がどうあれ、大らかな愛で包んであげたらどうかしら? 」
「この愛の試練に耐えて、ますます強固な絆で結びついて欲しいと思って。 
「こんなことぐらいで、唯美と気まずくなんてならないでね~ 」
「帰れ!!出てけ!!」「失礼しました。ハハハ、アーハハハ!アーハハハ!!」
という捨て台詞を残して、芹亜はさわやかに去っていくのでした。

唯美はごはんの支度をしているが、栃彦は黙っているばかり。

徳須は、また貴道家の食事時に上がり込んで、お相伴。小沢真珠は、徳須にしがみつくが、あっさりフラレている。

翌日、栃彦は、デイケアセンターに出向いて、野菜を卸したり、チェロを弾いたりするのはすべてやめると言い出す。もちろん芹亜は平然としていて、
「チェロの演奏も今後はお断りしますので」「あら、そう。そういう風向きなの?」 
「は~ん、そう来たわけねぇ。 」

唯美は、いつものとおり保育園から芹亜の子供を連れてくるが、芹亜の言葉から、売春のことを芹亜が栃彦にしゃべったことを知ってしまう。
「あんたこそ何よ!!あたしの整形手術のことペラペラしゃべったくせに! 」
「秘密が増えれば増えるほど、あたしたちの仲は、深く強靭な絆で結ばれるのよ?それが、あたしたちの赤い糸。」
「あんたって女はよくもしゃべり散らしてくれたもんだわ!」 
「全部作り変えた整形美人だって、ところ構わずペラペラペラペラと」「しゃべってませーん!」 
「もとは豚みたいな女の子だったのよ?」「言ってませんそんなこと!」 
「目茶目茶に潰されてしまった(ry」「あたしじゃないって言ってるでしょ~!!」 
「あんたが売春して!…金を稼いだことだって当然、白日の下にさらされるべきなのよ!目には目をだわ。 」
「これでもう、なにもかもパーなんだわ。 」
「あたしたち五分五分じゃな~い?」「…五分五分ですって?」 
「一歩ずつ築いてきた栃彦との暮らしが、あんたのせいで目茶目茶に崩れてしまったのよ!! 」
「あん~な浮世離れした自給自足の生活が何よ!…この際栃彦なんかと離婚しなさいよ! 」
「私が幸せになりかけると、鬼みたいに乗り込んできては、私が一番大切にしてるものを金棒で目茶目茶に壊してしまうんだわ! 」
「あん~なままごとみたいな生活を続けるなんてどだい滑稽な話なんだからね~! 」
「霞を食らって生きてるような栃彦なんかと暮らして何が楽しいんだ!あんたは下界に降りてくるべきなの!! 」
「どっちがあんたと強力な赤い糸で結ばれてると思うの?あたしよ。このあたしなのよ~。 」
「壊してやろうか?この作り物の顔を、目茶目茶にしてやろうか? 」
「唯美…」「ハ、ハハハ!この、化け物!」(ドン) 
「20メートル以上、あたしの側に近づくんじゃないわよーー!!」
唯美もキレたか。しかしなぜ半径20メートル?ボールペンを思い切り壁にかかってる絵に突き刺して、唯美は去っていくのでした。

唯美ががっくりして家に帰ってみると、栃彦は何もなかったかのように機嫌が直っている。戸惑う唯美だが、栃彦は、
「生きていこうな~、この生活を守って…僕の側に唯美がいる限り、この生活を続けていける。ありがたいと思ってる。 」
とか抜かしてる。また芹亜の陰謀は不発?うーん、ざんねんだ。そして栃彦のチェロで、唯美と仁奈子は、「お菓子と娘」を歌うのでした。それを窓から覗いている芹亜。またまた陰謀をたくらんでいるらしく、貴道家に上がり込んで、小沢真珠に栃彦に貸している農地のことを持ち出している。どこまでも悪い奴だなー。といっても、芹亜がんばれという感情しかわいてこないが。

次回予告。栃彦、濁酒を唯美の頭からドボドボぶっかけて唯美を罵倒している。あらー。真珠様と栃彦が対決。芹亜は性懲りもなく栃彦に迫っているらしい。うーむ。