NHKスペシャル 未解決事件 File.02 オウム真理教 オウムvs.警察

NHKスペシャル」 「未解決事件 File.02 オウム真理教 オウムvs.警察」、2012.5.27


5月の放送を見ないで放置していて、録画されたものを今頃になって見たのだが、おどろいた、というよりあきれた。

オウム事件が大事件に発展したのは、明らかに警察の責任。特に熊本県波野村での国土利用計画法違反容疑での捜索では、オウムがテロのための準備活動をしていたのに、事前に警察内部から警察関係者の家族を通じてオウムに情報が漏れ、捜索時点では証拠はすべて隠滅されていて何も出なかったという話にはあぜん。警察、やっていることが穴だらけ。

松本サリン事件でも、捜査員の一部はオウムの犯行だと考えていたとのこと。だったら、なぜ無実の河野氏を逮捕して、オウムの捜査はろくに行なっていないのか?警察庁がオウムの専従班を置くことにした判断も遅すぎる。

さらに驚いたのは、地下鉄サリン事件は、上九一色村の施設に強制捜査が入ることをオウムが事前に察知して、警察の目をそらすために行われたという広く信じられている説を自分も信じていたが、関係者の証言では、捜査の目をそらすことは目的ではなく、「何もしないままで壊滅するなら、テロ行為でも何でもやれることをやってしまえ」という意図で行われたという話。

そうであれば、上九一色村の教団施設への捜索もただでは済まなかった可能性があるわけで、オウムは小銃と弾薬は潤沢にもっていたのだから、警察が拳銃程度で武装していてもかなうわけがなかったことになる。だいたい、風向きしだいだが、サリンやVXをまかれたら、警察など手も足も出ないので、自衛隊が出るしかない。

当時の警視総監にもインタビューを取っているが、自己弁護に終始し、かんじんな部分には沈黙。要するに警察首脳部も、自己の不手際について十分認識していたということ。警察、最悪だ。肝心なときには大してあてにならない組織だと暴露されたようなもの。

NHKの番組編集は直接警察を非難してはいないが、これだけ事実を並べれば見ている側には警察の無能は明らか。これだけの大失態なのに、トップの責任追及はもちろん、国会で警察の捜査が大きく問題にされてすらいない。終わってるな。