宇宙大戦争

宇宙大戦争」、池部良千田是也、土屋嘉男ほか出演、本多猪四郎監督、東宝、1959

これはいろんな意味でなかなかすごい映画。遊星人ナタールというのが地球に攻めてきたので、全滅させちゃえ!というおはなし。池部良が主役の宇宙飛行士、博士が千田是也なのだが、透明人間=ミステリアン=土屋嘉男がいい味だしまくり。宇宙人のロボットにされて破壊工作をやりまくるが、最後は地球のために身を捨てるという、いかにもな役。

遊星人ナタールというのが、変な電波を出して地球人を自在に操れるというすばらしい能力をお持ちの方々。宇宙ステーションを粉微塵にしたあとで、この手を使ってインド?のなんとか教授をあやつり、新開発の熱線砲を盗み出そうとする。外宇宙から来ているような科学をお持ちの方々が地球ごときの技術を盗む必要があるのか、というツッコミはなし。この熱線砲のおかげで、ナタールはボコボコにされてしまうのだ。

ナタールの前進基地が月の裏側にあるというので、2隻の宇宙艇を使って、ナタールの基地を潰してしまえという地球側の作戦。しかし、宇宙艇があるなら、上空から基地を攻撃すればいいのに、わざわざ手前に降りて月面車で基地に近づこうという作戦だ。そんなことをしたら月面車ごと一発でやられてしまうのでは?実際に、宇宙艇は月に着陸する前に、ナタールから月に近づくなと警告されている。バレてるのだ。

この時点ですでにナタールのロボットにされている土屋嘉男はロケットの中で熱線砲の動力源を切ろうとして失敗し、監禁されてしまう。で、一行は土屋嘉男を椅子にしばりつけ、一人を見張りに残して月面車でナタールの前進基地へ。この月面車、やたら重そうで、クローラーがついているのだが、なにかの物質を噴射して、空中を飛んで動いてる。クローラー、いらなくないか?

この月面車で基地を攻撃するのかと思ったら、そうもいかないらしく、基地の手前に降りて一行は歩いて基地に近づく。そんなことをしたら攻撃を受けて手も足も出ないんじゃないのかと思ったが、一行の持っていった小型の熱線砲で、ナタールの前進基地(ちょっとミステロンの火星基地に似ているような似ていないような)は吹っ飛んでしまう。ナタールも強いのか強くないのかよくわからない。

土屋嘉男は薬で眠らされていたが、ナタールの指令で起き上がり、超人的な力で縛られているベルトを引きちぎって見張りを殺してしまう。そして宇宙艇の1号機をバルブを開いて破壊。宇宙艇1号、ものすごい勢いで爆発しているが、となりの2号機は無事。で、ナタールの命令でとなりの2号機も破壊しようとするが、そこで目が覚めた。

ナタールの基地を破壊した一行が戻ってきたら、1号機はあとかたもなく、2号機があるだけ。これじゃ全員乗れないだろうとおもうのだが、なぜか乗れるらしい。ナタールは基地を破壊された後も怒って攻撃してくるので、2号機はどうなるかとおもいきや、目が覚めた土屋嘉男が両手に小型の熱線砲を抱えて、ナタールの宇宙船をバンバン破壊する。すごい威力だな。一行が2号機で地球に戻るところ、土屋嘉男は、一人でナタールの宇宙船と戦って死亡。地球人の軍神である。

これで終わりかと思ったら、ナタールの母船と小型宇宙船が地球に来襲。見たところ、母船1席と小型宇宙船5隻くらいしかいない。地球側は宇宙戦闘機と巨大熱線砲(パラボラだ!)をバンバン使って敵艦隊を迎撃。地球側の方が圧倒的に多いような気がするのだが、ナタールの宇宙船は地球の戦闘機をばしばし撃墜し、本丸にせまったところで、巨大熱線砲でぜんめつさせられてしまうのでした。ナタールあわれだなあ。

この映画、宇宙からみた月が青いよ!大気圏外から見た月の画像がなかったということか。おどろくなあ。ナタールもせっかく遠い宇宙から地球くんだりまで来ているのに、かわいそうすぎる。そしてなんといってもかっこいいのは、伊福部昭の音楽。これは非常に乗れる。CDがほしいな。