スズメの少子化、カラスのいじめ

安西英明『スズメの少子化、カラスのいじめ 身近な鳥の不思議な世界』ソフトバンク新書、2006

身近な鳥の生態についての本だが、学問っぽい話はあえて避けて、鳥の生態の観察というところにしぼって書かれてある。自分は野生の動物を日常的にほとんど見ていない(見かけることはあっても、注意深く見てはいない)ので、とてもためになった。

4つの章に分かれているが、それぞれスズメ、カラス、ハト、その他の鳥にあてられていて、もっとも身近にいてよく見かける鳥に多くのページが割かれている。スズメと見かけが似ている鳥をどこで区別するのかということからはじまって、成鳥と幼鳥のちがい、交尾や繁殖、餌、排泄、飛び方、などなど、鳥の生態がていねいに書かれている。

著者は生物学者ではなく、バードウォッチャーなのだが、バードウォッチャーというのは、このくらい丹念に鳥を見ているのかということに驚いた。めったに見ないような希少種だけではなく、どこにでもいる鳥であっても、このくらい細かいことがわかるまで観察するとなると、ほんとうに莫大な時間を鳥の観察に投入しているのだろう。倍率の高い双眼鏡がなくても、肉眼でていねいに見ていればここまでわかるのかということが非常に新鮮に感じる。

図鑑と同様、一読して済ませるような本ではなく、自分で鳥の観察をするときに折に触れて取り出して読むべき本。図書館でざっと読んだが、これは買って持っているべきもの。