僕とおませちゃん 1巻

柘植文『僕とおませちゃん』1、太田出版、2010

柘植文の下ネタマンガ。もとの連載は、『マンガ エロティクス・エフ』。エロネタを扱っているが、基本的にはコメディーで、「エロいマンガ」ではない。登場人物は、小学校2年生の「ませちゃん」と同級生でくだらない下ネタばっかり言っている「ヒロ君」、エロDVDに出演するのが夢で、双眼鏡で近所の人妻をのぞいている30代とおぼしきおじさん「団ヒゲ六」といった人たち。

おはなしは、どれもエロいネタに対して、何も知らないが好奇心だけは旺盛なませちゃんがズバッと斬りこむようなことを言うというのが基本パターン。柘植文の「ちょっと対象から距離をとって笑わせる」というスタンスは、こういう下ネタにはかなり向いていると思う。

時代設定はいちおう現代ということになっているのだが、昔懐かしい中世のお城みたいなラブホテルが出てきたり、町中に古いポルノ映画館があったり、「家族計画」と書いてあるコンドームの自動販売機があったりと、まあ1970年代から80年代の香りがする風景がそこかしこにあるような町。じっさい、地方の田舎町では、そういうものの残骸ってけっこう残っているものなので、これってあるあるだなーという感じ。

そんなに大笑いするようなエピソードはないけど、自分としては半分くらいのエピソードが好き。このくらいがちょうどいいと思う。