女子をこじらせて

雨宮まみ『女子をこじらせて』、ポット出版、2011

これもなぜ買ったのか、きっかけを思い出せない本。しかし内容は非常におもしろかった。帯に「全国のこじらせ系女子に捧ぐ!」とあって、本文にも「こじらせ系」という言葉が頻出する。だいたい「昔の悲惨な体験をトラウマにして抱え込んでいる」というような意味。この本は、女性アダルトビデオライターである著者の半生記だが、読んでいるとこれでもかとばかり悲惨なエピソードばかりが出てきて、読んでいてつらくなる。しかし悲惨であっても真実味のある話で、読んでいて偽悪的な感じはまったく受けない。というか、これくらい自分をさらけ出すと、偽悪も何もないし。

著者はあとがきで現在30代半ばと書いているが、AV業界に入ったのは大学を出てすぐ、つまり12、3年前で、当時女性でアダルト業界ライターをしているということはかなり珍しかったと書いている。また、実際にそのことでかなり苦労している。ちょっとフェミニスト本も読んでいて、そのような主張も出てくるが、いつもフェミニスト本を読んでいて感じるようなイヤな印象はない。これも著者が女だからといじられまくっていた経験に説得力があるからだろう。

巻末に久保ミツロウとの対談があって、この人もぜんぜん名前を知らなかったのだが、マンガ「モテキ」の作者で、男性名だが女性である。雨宮まみとは非常に共通点が多いようで、話はがっつりかみあっている。

この本を読んで、湯山玲子自己啓発本がぜんぜんおもしろくない理由がわかった。自分は湯山玲子の言うことに納得はするが、まったく共感するところはない。そんな人に人生の説教をされてもウザいだけである。雨宮まみと自分にそれほど共通点はないかも知れないが、彼女の血の出るような文章には非常に共感する。この人はせっせとブログ(「弟よ!」というタイトル)を書いているらしいので、今度はそちらを読むとしよう。