パーフェクト・オペラ・ガイド

前島秀国編『パーフェクト・オペラ・ガイド オペラ通になりたいあなたのために』、音楽之友社、2003

ふつうのオペラ入門書とはちょっと切り口の変わった本。ありがちな「オペラのあらすじ集」ではない。

最初にばーんと取り上げられているのが、バーンスタイン「キャンディード」。最初からこれかい。そして、歌手、指揮者、演出家、プロデューサーといった人たちからインタビューをとっているところも貴重。ここは、オペラファンもけっこう楽しめる。

紹介されているオペラは51本(「指環」は1本として数えている)。ここも「あらすじ紹介」ではなく、そのオペラの魅力について執筆者が語るという形式。取り上げている作品は、定番の名作のほか、ブリテンヴェニスに死す」、ロイド=ウェバー「エビータ」、ツェムリンスキー「王女様の誕生日」、黛敏郎金閣寺」ほか、現代モノを意欲的に取り上げている。わたしは現代モノはほとんど聞かないので、そこを紹介してくれるのは非常に助かった。

終わりの方にある、新国立劇場の元常務理事、ヴェルディの曾孫(ヴェルディって、そんなに近い時代の人だったとあらためて感心)、ヴェルディ研究所所長のインタビューもおもしろかった。巻末には有名歌手、指揮者、演出家の紹介つき。