革命のサウンドトラック

「BS特集 革命のサウンドトラック エジプト・闘う若者たちの歌」、NHKBS1、2012.1.27

これは1月にNHKBS1でやっていたエジプト革命と音楽についてのネタを扱った番組、だったはずなのだが、どっちかというと音楽は添え物で、なんだか全共闘運動・エジプト版みたいな番組になっていた。

エジプト革命と言ったって、相変わらず軍は権力を手放さず、選挙で勝ったのはイスラム政党なので、まあ一部の人が「革命、どこ行った!」と言い続けているのはわからないわけでもないのだが、番組制作者が取材対象と一体化しちゃって距離をとれないって、ドキュメンタリーとしてどうなのよという出来。

ディレクターは有名人の貴志健介。この人は1957年生まれだというので、まー、学生運動みたいなのにフラフラと同調しちゃうのもわからないではないが…。この番組見ていても、「青い」「これでは権力は取れない」という感想しか出てこない。そういう人たちの番組だから、それでいいんだと言われればそうなのだろうが。

そして肝心の音楽なのだが、政治系ラップみたいなのは、いかにもありそうで、実際に出てくる。しかし多くは、「革命恨み節」みたいな、犠牲者のためのバラードみたいな歌。こんなので革命に乗れるのか?革命家がマーチみたいなのでないといけないとは言わないが、あんまり人の心を奮い立たせる歌には聞こえない。なんだか、1970年代のフォークソング(要するに負け組の歌)みたいな感じすらしてきた。

第一、革命と音楽の番組なのだったら、もっと音楽の方を中心にしてもらわないと。これではちょっとねぇ。