宗教を生みだす本能
ニコラス・ウェイド(依田卓巳訳)『宗教を生みだす本能 進化論からみたヒトと信仰』、NTT出版、2011
これは好著。宗教と人間の関係について、該博な知識を駆使して、説得的な説明を与えている。著者の中心的な主張は、「宗教は、道徳の基盤、集団結束の基礎を提供することにより、集団全体の存続に貢献している」というもの。
著者は、宗教と人間の結びつきは、単なる偶然や後天的な選択ではなく、遺伝的な基礎に基づいていると主張する。このあたりの議論は特におもしろかった。文化人類学的なバックグラウンドしか持たない人にはできないような説明で、非常にスリリング。
ユダヤ、キリスト、イスラムの三大一神教の起源と発達についての説明も新鮮。著者は「修正主義」に近い立ち位置にいて、この説明だと、これらの一神教の教義は、自派の拡大と適応のために後から形成されたものだという。例えば、ユダヤ人の放浪とカナンへの定着は、実際の歴史的事象ではなく、その後のユダヤ国家の分裂の危機に際して、後から創造されてものだという。
宗教と音楽、舞踏、トランスとの関係についての章もおもしろかった。宗教はこれらの現象とその起源から深く結びついており、これを通じて、宗教を核にした結束、宗教の超越的な神聖化を実現してきたというもの。
他にも多岐に渡る社会的事象と宗教の関連について説明がされているが、いずれも、宗教、歴史、社会科学、自然科学についての広範な知識と教養がなければできない議論。最近読んだ本の中でもベストのおもしろさ。
これは好著。宗教と人間の関係について、該博な知識を駆使して、説得的な説明を与えている。著者の中心的な主張は、「宗教は、道徳の基盤、集団結束の基礎を提供することにより、集団全体の存続に貢献している」というもの。
著者は、宗教と人間の結びつきは、単なる偶然や後天的な選択ではなく、遺伝的な基礎に基づいていると主張する。このあたりの議論は特におもしろかった。文化人類学的なバックグラウンドしか持たない人にはできないような説明で、非常にスリリング。
ユダヤ、キリスト、イスラムの三大一神教の起源と発達についての説明も新鮮。著者は「修正主義」に近い立ち位置にいて、この説明だと、これらの一神教の教義は、自派の拡大と適応のために後から形成されたものだという。例えば、ユダヤ人の放浪とカナンへの定着は、実際の歴史的事象ではなく、その後のユダヤ国家の分裂の危機に際して、後から創造されてものだという。
宗教と音楽、舞踏、トランスとの関係についての章もおもしろかった。宗教はこれらの現象とその起源から深く結びついており、これを通じて、宗教を核にした結束、宗教の超越的な神聖化を実現してきたというもの。
他にも多岐に渡る社会的事象と宗教の関連について説明がされているが、いずれも、宗教、歴史、社会科学、自然科学についての広範な知識と教養がなければできない議論。最近読んだ本の中でもベストのおもしろさ。