ブラタモリ 江戸の盛り場 吉原

ブラタモリ」 「江戸の盛り場 吉原」

ブラタモリの先週の放送が吉原。NHKで吉原って、いったいどうするのか?両国は相撲やら何やらで無難に済ませられるが、吉原は売春街、それも現役だ。いまの吉原にも触れないわけにはいかないだろう、と思っていたが、差し障りのありそうな話はほとんどスルーというもの。

案内人は元立教大学の先生で、近世文化が専門の渡辺憲司氏。一行は屋形船を調達して、船で吉原へ向かう。吾妻橋を過ぎると、吉原はすぐそこ。昔の人は芝居を見た後で女遊びをしていましたという話。先生は、「吉原細見」という江戸時代の遊郭ガイドを出している。

吉原に行く前に待乳山聖天へ。タモリと先生は、久保田アナに結婚祝いだと言って大根を渡している。ここのお供え物が大根で、夫婦和合、家庭円満のご利益があるのだそうだ。吉原の隣にはそういうものも必要らしい。

いまは暗渠になっている川の跡をたどって吉原へ。江戸時代には、遊郭に実際に上がるのが目的ではなく、遊女を見に行くだけのために吉原に言った人も多かったという話。太夫の説明をしているが、そもそも太夫が何をやっていたのか、遊女とはなんなのかについて一言の説明もなく番組が粛々と進行していくのに笑える。

それから昔の水防土手、日本堤の跡をたどっていく。ここは吉原に行くために必ず通らなければならない道になっていたとのこと。いまはすっかり平らになっているので昔の面影はなし。

都バスの「吉原大門」のバス停をたどって吉原に。しかし吉原のお店を映すようなことができるのか?と思っていると、微妙に店は映っているが、店の看板はよくわからない。工夫して映しているのだろう。昔の浮世絵を映してごまかしたりしているけど、吉原のお店は現役で営業しているのだから、いかにも苦しい。しかし、実際に吉原でカメラを回そうとすると怖いお兄さんが飛んできたりするのだろうから、いちおう撮影ができているだけでもエライのかもしれない。空撮で吉原を映すと、そこだけ地面が盛り上がっている。新吉原が造成された時のなごり。

そして吉原と言えば外せない浄閑寺。投げ込み寺だ。ここは住職が出てきて、過去帳から遊女の悲惨な最後を説明している。いちおうキレイでない話も入れておきましたという感じ。

最後は、料亭らしきところに繰り込んで、太夫の身請けの話をしている。そこに繰り込んできたのが太夫の衣装を着たおねえさんたち。この撮影のためにコスプレしたらしい。太夫が客にキセルを渡したり客を迎えるようなところを芝居で見せている。吉原では客を振るということがあったので、心にゆとりのある人しか遊べないとか言っているが、心のゆとりより金のゆとりだろう。なんだかねぇという感じ。

まあNHKが取り上げられる吉原というのはこういうレベルかという番組。これだったらやらないほうがマシ。現代の話ができないとしても、売春のことをすべて婉曲表現にしてここの紹介をするという企画自体に無理がある。これでもNHKの中の人はがんばったことになっているのかもしれないが。