平清盛 1話

平清盛」、1話 「ふたりの父」、NHK、2012.1.8

兵庫県知事が文句をつけたとかいう「平清盛」の第1話、今頃見たけど、これはおもしろいわ。自分の遠い記憶には「新・平家物語」もあるので、どういう風に作るのかと思っていたが、平氏、源氏が、文字通りの「爪牙」、院(王家)の下働き扱いされている。

草燃える」では、鎌倉武士は蛮族扱いだが、源頼朝は完全に貴公子扱いだったし、「新・平家物語」でも、平氏は貴族扱いだったので、これは新しい。県知事はそのあたりが気に入らなかったのだろうが、歴史学では平氏、源氏といえども、院、摂関家の下僕だったことは常識だから、おかしなことではないのだ。

しかもここでは「白河上皇のご落胤説」をとっていて、清盛が平忠盛にもらわれるプロセスがかなりひねってある。これは好き嫌いが分かれそうだが、自分的には「あり」。白河上皇伊東四朗)があぶらぎった専制君主としていい味を出しまくっているし、平忠盛中井貴一)の一本気な性格付けもよい。清盛の生まれの経緯をいじることで話をどんどん回していける。ここは脚本家の藤本有紀の勝ち。この人、「ちりとてちん」の脚本を書いた人だから、これからがとてもたのしみ。

天皇家が「王家」と呼ばれていることに文句をつけている人がいるそうだが、歴史の本を読んだことがないのだろうか。まあ中世史なんてどうせマイナーだし、そんなものかも。時代考証に、本郷和人がついていることも、NHKの本気を感じさせる。この回では主役の松山ケンイチが出てこないので、それ次第だが、2話は録画してあるので必ずみるよ。