カーネーション 80-85話

カーネーション」80-85話、第15週「愛する力」

今週のカーネーションにはかなりウルウルさせられた。渡辺あやはストーリーの緩急の付け方がうますぎだ。戦争の最中の人の死はさらっと流しておいて、戦争が終わってから死んだ人のことを思い出させてじわっとさせるというやり方。ちょっとあざといけど、やられてしまった。

まず来たのが糸子の恋愛話。これまでまるっきり男女間のことにうとい人扱いされていた糸子が、同業者組合の集まりで、周防(綾野剛)を紹介される。糸子が周防にときめいていることは最終日まではっきりした形では言わないのだが、そこがうまい。そして、その前のエピソードとして、糸子の妹が復員してきた恋人と抱き合って嫁に行くところ、それを見届けたハル(正司照枝)が亡くなるところが持って来られているので、糸子の感情がとても自然と受け入れられるのだ。

そして、今週のハイライトはとうとうパンパンに身を落とした奈津のてんまつ。糸子は町の男たちから奈津の話を聞いて、自分で飛び込んでいっては奈津を張り倒すのだが、奈津には当然のように叩き出される。ここからがうまいところで、糸子は、勘助のことで疎遠になっていた玉枝(濱田マリ)をあえて訪ねて、奈津を救ってくれるように頼み込む。一旦は断る玉枝だが、数日後、自分から奈津の家に訪ねていく。ここでの奈津と玉枝のやりとりが、涙もの。堕ちるところまで堕ちた奈津はほんとうに美しい。

糸子自身も、自分の周防への気持ちを自覚して、周防から離れる決心をするのだが、来週の予告では、洋服を着ている糸子(普段着で洋服を着ている糸子ははじめて)、戻ってきた奈津、さらにこれも戻ってきた周防が映っていて、めちゃくちゃ展開がたのしみだ。