世界最高のピアニスト

許光俊『世界最高のピアニスト』、光文社新書、2011

ピアニスト(存命、没後含めて)のレビュー本。序章のところで「奏法、楽譜といったことには一切触れる必要なし。すべては音楽聞いてなんぼ。だいたい、ピアニストの演奏法を見て感心するほど、あなたはピアノを弾けますか?」と書いてあって非常に納得。批評本はこうでなければ。

とりあげられているピアニストは、アファナシエフポゴレリチ、ケンプ、ホロヴィッツグルダポリーニアルゲリッチ、ピリス、ツィメルマン、グールド、サイ、ランラン、フー・ツォン。それ以外のピアニストは巻末の一章にまとめてくくってある。まあ、選択としては非常に納得がいく。フー・ツォンとか、演奏を聞いたことがない人もいるが、これを読むととても聞きたくなる。

興味深いのは「その他大勢」に入れられているほうのピアニスト。アシュケナージアンスネス、アンデルジェフスキ、エッシェンバッハ、エマール、コルトーキーシン、ギレリス、シフ、チッコリーニ、パイク、バックハウスバレンボイム、フォークト、ブーニンブレンデル、ヘミング、ミケランジェリ、ラベック姉妹、ラローチャリヒテルユンディ・リリパッティルービンシュタインワイセンベルク内田光子中村紘子

もちろん、コルトーバックハウスはちゃんとほめてあるのだが、かなりけちょんけちょんに言われている人多し。そりゃ中村紘子先生くらいだったらそれもわかるが、この人が?というような人が容赦なく「三流」扱いされている。まあ、著者の批評を評価できるほど聞いていないので、ウダウダ言うことはしないが、叩かれている人のCDも含めて、興味が湧いたことはたしか。

巻末には簡単なディスコグラフィーがついているので、かなり購買意欲がそそられてきた。やっぱり聞いてみないとね。