花神 総集編 第三回

花神」、総集編、第三回、「崩れゆく長州」、NHK、1978

花神」総集編の3話。この回は、池田屋事件禁門の変、下関戦争、第1次征長戦から、高杉晋作らの奇兵隊蜂起まで。この回も中村梅之助はどちらかというと脇役で、中村雅俊高杉晋作が主役。

長州藩は負け一色の回なので、長州関係者はバタバタ死んでいく。そこで光っているのはやっぱり中村雅俊の明るさ。この人が出るとそれだけで話の暗いところがだいぶ緩和されるような気がする。下関戦争での談判は堂々としていて、言うことなし。彦島の租借をごまかすために、わけのわからない演説を始めるところは喜劇としても様になっている。テロリスト役の田中健は、役柄は暗く、顔色の悪いメイクをしているのだが、やはりかっこいい。美男のテロリストはいいねー。

それ以外では、西田敏行が演じる山県狂介。一癖も二癖もあるようなキャラクターだが、うまくはまっていると思う。それから草笛光子が演じる野村望東尼。九州へ逃れた高杉晋作をかくまう尼さんである。細かい役でも大物があてられていて、ちゃんと締めているところが大河ドラマのよいところ。

番組の終わりに、NHKでこのドラマの演出をつとめた村上佑二が当時の思い出を語るビデオが流れていた。中村梅之助が選ばれたのはやはり演技力だとのこと。重要人物だが本来は脇役的なキャラクター、ハンサムではない顔、コメディーも真剣な場面も自在に演じられる力量、そういうところで梅之助に声がかかったという。それから思い出に残っているのは、篠田三郎の演技だそうだ。入ってくるときは普通に挨拶をしていたが、メイクをしている時からだんだん悲愴な表情になってきて、ほとんど吉田松陰が乗り移ったような姿だったという。スタジオに入ったときには、誰も声をかけられず、誰がいうともなくスタジオが静まりかえっていたとか。