花神 総集編 第二回

花神」、総集編 第二回 「攘夷の嵐」、NHK、1977

この回は、中村雅俊演じる高杉晋作がメイン。最初に吉田松陰の遺体を桂小五郎ほかが引き取るところからはじまって、そこでたまたま中村梅之助村田蔵六が囚人の解剖をしていたのを機会に、米倉斉加年桂小五郎村田蔵六の知己を得て、村田が長州藩に欠かせない人材だと見込み、長州藩に招こうとする。

シーンの間に「現代の上海」の写真が挿入されているが、発展する前の上海なので、人はみんな人民服を着ていて高いビルはぜんぜんない。自分はこのドラマからだいぶ経ってから上海に行ったが、その時も上海は開発前だったので、このドラマの写真と大差ない。ちょっとなつかしい。

高杉晋作は、吉田松陰の衣鉢は自分が継ぐとこころざし、天堂晋助=田中健を同志に取り込む。天堂はテロリスト。もっともテロ仲間には、高杉自身の他、尾藤イサオ伊藤俊輔東野英心井上聞多らも入っているのだが。ほかに重要人物として出ているのは田村高廣周布政之助。桂と図って、攘夷政策後の情勢をにらみ長州藩から海外留学生を出す計画をすすめる。

長州藩は馬関で外国船を砲撃。この場面はあまりお金がなかったのか、ミニチュアっぽさが出まくりであまりよくない。また、長州藩は砲台から砲撃しているのに、この場面では軍艦同士が撃ちあっているようにしか見えないところはご愛敬。

高杉晋作は、藩の出入り商人、瑳川哲朗白石正一郎を引き込んで奇兵隊を設立する。ここの瑳川哲朗は非常にカッコイイ。

一方村田蔵六は、師匠の緒方洪庵が亡くなったのでその遺骸に対面するためにかけつける。入川保則福沢諭吉は長州の攘夷政策を軽蔑するが、村田は色をなして長州を擁護し、福沢はあきれて去るのでした。

この回は、話の中継ぎみたいなもので、見せ場が薄い。しかし、中村雅俊は「俺たちの旅」でいちばん輝いていたころで、高杉晋作の快男児ぶりを元気に演じてみせている。田中健俺たちの旅の共演者だったから、リアルタイムで見た人にはインパクトが強かっただろう。蔵六が恩師の死に涙する場面と、その後の福沢諭吉との口論の場面は、さすが中村梅之助という演技。