イエスの方舟

イエスの方舟 イエスと呼ばれた男と19人の女たち」、ビートたけし山咲千里、竹井みどりほか出演、山泉脩演出、TBS、1985

TBSチャンネルで放送されていた、「イエスの方舟」事件のドラマ。いちおう「ドラマです」ということになっているので、千石剛賢は「京極武吉」という役名になっている。しかし、おはなしの内容はかなりドキュメンタリーに近いような創作。

キャストには、ほかに小林聡美、長内美那子、蜷川有紀田中美佐子赤座美代子、風間舞子、辻沢杏子斎藤晴彦、岡本麗、風祭ゆき、岸田今日子佐藤慶といったかなり豪華なメンバー。小林聡美が若い。辻沢杏子とか、どうしてるのかなあ。

おはなしは、たけし=京極が主宰する「京極聖書研究会」に、田中美佐子が転がり込んでくるところから始まり、それに対して駆け込んできた女たちの親族が騒ぎ出す。特に小林聡美の父親=佐藤慶が強硬。最初は警察も相手にしていなかったが、話が週刊誌で取り上げられ、国会で問題にされるにいたって、警察も動き出す。

一行はマイクロバスでひたすら逃避行を続ける。あまりの追及の厳しさに京極は体調を崩し、いったん解散しようと言い出すが、解散を言い出す京極を追及するのは今度は方舟の女性会員たちだった。入院した京極を見舞うのは、かつて京極に迫った佐藤慶だった。結局京極らは不起訴になり、戻ってきた会員たちに京極はまた説教をはじめるのでした。

たけしが、まじめだが重荷を負うのに疲れてしまう男「おっちゃん」こと、京極のキャラをよく演じている。むちゃくちゃなのは、京極を追及する親だけでなく、京極にしがみついてくる会員も同じで、小林聡美の自己中ぶりは相当ひどい。京極をみんなでよってたかって責め立てる場面では、人に寄りすがられる立場の苦しさを感じる。京極は人にすがられるが、京極自身がすがれるのは聖書の中のイエスだけ。それではやはりつらいだろう。

佐藤慶の人生に疲れたような役をはじめ、見どころ多し。脚本は池端俊作。