桃太郎侍 240話

桃太郎侍」、240話「桃太郎、命ぎりぎり」、1981

東映チャンネルの「桃太郎侍」の放送は、全話放送が初回から繰り返されるのと並行して、以前から放送されていた全話放送のシリーズが最後に近づいてきた。一番見たいのは最終回とその前の回の2話なのだが、この回もたまたま見てしまった。桃太郎の兄、若年寄松平備前守高橋英樹の二役)が出てくる回。兄弟登場の回はだいたい大がかりな話になっている。

話の冒頭、いきなり桃太郎が刺客の一団に襲われている。四方八方から槍が飛んで来ていて、これじゃふつうはやられてるでしょ。いったん話はかわって、松平備前に夫人を迎える話が持ち上がり、京から公家のお姫様(名取裕子)が行列を揃えてやってくる。松平備前は殿様だろう。この年で奥方がいないなんてことがあるのか?

姫は非常に性格がやさしく、松平備前はたいへん気に入った様子。わざわざ桃太郎を呼んできて、姫に引きあわせている。桃太郎は性格のよい姫が兄の奥方になったので、心から喜んでいる。しかしまた桃太郎が、襲われる。子供の持ってきた梅干しを口にすると、梅干しに毒が仕込んであり、あわやお陀仏になりそうに。そして、兄の備前守も体調がすぐれなくなる。

実は備前守に毒を盛っていたのは、京から来た姫だった。本物の姫は道中で殺されていて、忍びの者がすり替わっていたのだ。悪者は姫の付け人として来た黒部進。あいかわらず悪役だ。桃太郎を狙っていたのも同じ忍びの一団で、そっくりの弟が生きていては、兄を殺しても簡単にすり替わられてしまうから、という理由で兄弟とも殺してしまえということになっていたのでした。

桃太郎は、陰謀の首謀者が備前守に、若年寄の地位を奪われた久喜若狭守。名取裕子は、備前守の人格にほだされて、忍びの一味を裏切ろうとしていたのだが、桃太郎に素性を追及されて本当のことを話してしまおうとしたところ、飛んで来た槍から桃太郎をかばってあえなく死亡。桃太郎は、「許さん」と若狭守と黒部進以下の悪者を皆殺し。備前守は、姫に化けていた名取裕子のことが忘れられず、もう夫人は娶らないと誓いをたてるのだった。

この回は、忍者が大勢出てくるのでとにかく立ち回りが派手。集団で襲ってくるし、桃太郎が刀を振り回してもバク転でひょいひょいと逃げている。名取裕子はおいしい役だが、この人、年はまだ若い時期(24歳くらい)なのにかなり老け顔。むかしからそういう感じだったのか。

桃太郎が結婚しないのは浪人だから別にいいが、大名の兄が世継ぎもいないのに、生涯夫人をとらないとか、いいのか?脚本は和久田正明。時代物の小説家だが、脚本家出身で、時代劇、推理モノなど幅広く執筆している人。監督は山下耕作