文楽 「仮名手本忠臣蔵」五段目、六段目 「釣女」

文楽 「仮名手本忠臣蔵」五段目 二つ玉の段、六段目 身売りの段、早野勘平腹切の段
   「釣女」

アステールプラザ中ホール、2011.3.6


文楽の三月地方公演。これは早めに気がついてチケットを取ったのでいい席をゲット。最前列、大夫と三味線のすぐ前だった。昼公演が忠臣蔵で、夜公演は「曽根崎心中」だったが、行ったのは昼公演だけ。いまにしてみればもったいなかったか。

忠臣蔵は、二つ玉の段が相子大夫と團吾、身売りの段がつばさ大夫と宗助、勘平切腹の段が千歳大夫と富助。人形は、与市兵衛に文哉、勘平に和生、おかるに勘彌ほか。

大夫と三味線が隣でがんがんやっているので、吐息までとてもよく聞こえた。腹切はかなり涙もの。終わってから振り向くと、千歳大夫の禿頭が汗でびっしょりと濡れていた。よくぞ語ってくれました。

もう一曲の「釣女」は、狂言浄瑠璃になおしたもので、大名と太郎冠者が西宮の恵比寿さまに妻取りに参じると、「これで釣れ」と釣竿をさずかり、大名が針を下ろすと超美人がかかってきたが、太郎冠者が針を下ろすと超絶不美人がかかってしまいました、というもの。

この曲は、太郎冠者が咲甫大夫、大名が文字栄大夫、美女がつばさ大夫、醜女が南都大夫をそれぞれ演じ(美女と醜女は入れ替わり)、三味線に錦糸、寛太郎、龍爾。人形には玉女、清五郎、一輔、和生。

狂言によくある単純なおはなしで、忠臣蔵でお腹いっぱいになった後にはちょうどよかったかも。忠臣蔵は休憩なしの通しでやったのでこちらも緊張で疲れたから、まあいいかなという感じ。玉女が太郎冠者をあやつるのを見られてよかった。咲甫大夫が甲高い声で演じたのも楽しめた。

でも夜公演は咲大夫が切場を語っていたのだ。これを聞かなかったのはちょっともったいなかったか。