偉大なる建設 東京タワーの建設記録

「偉大なる建設 東京タワーの建設記録」、マツオカ・プロダクション

昭和33年、1958年に完成した東京タワー、日本電波塔の建設記録映画。いまやスカイツリーの方に人目が集中していてすっかりかすんでいる東京タワーだが、この映画はおもしろい。雲をつくような高さから見下ろした東京の町には、ほかに高い建物がないので、このタワーの存在感がいかにすごかったかが実感できる。もちろん当時は世界一高い自立式鉄塔だった(それまでの世界一はエッフェル塔)のだが、なんだかバベルの塔を建てているような空恐ろしいような気分。

カメラは、タワーの先端部分に装着する75メートルの大アンテナの取り付け工事を執拗に追っかけているのだが、この場面がとりわけめまいがする。作業にかかっている鳶職人はみんなロープなんかつけずに、ひょいひょいと足場をよじ登ったり歩いたりしている。強風の日は工事を休んでいるとはいえ、落ちた人はいないのかなあ。というか、カメラマンは(映ってないが)、両手でカメラを支えてるのだからそっちのほうがこわいわ。

最後は昭和33年12月23日の竣工式。するするとエレベーターが昇っていく場面でタワーの完成を実感させられる。起工は昭和32年6月というから、工事にはわずか1年半しかかかっていないのだ。タワーのまわりは、住宅ばかり。52年前の時間を体感させられる。東京スカイツリーもこういう工事の記録映画が作られているのだろうか。見るのがたのしみ。ちなみにこの映画のナレーターは高橋圭三