立川志らく独演会

立川志らく独演会」、広島県民文化センター、2011.2.9

立川志らく独演会、先月の昇太、花緑ふたり会に続けて、こんなありがたいイベントが。特に志らくは、広島は初公演だそうだ。ほんとうにありがたい。ところが、このホールは500人強入るのに、客の入りは三分の二。だいたい350人にはならないだろうというくらい。昇太、花緑ふたり会は、1200人入るアステールプラザ大ホールがほぼ満席だったのに。そんなに志らくって、田舎では知名度低いのか?まあ、テレビへの露出度の違いなのだろう。テレビの威力は田舎では絶大だから・・・。

志らくもちょっと高座でボヤいていたが、客の入りはともかく、ノリは非常によかったと思う。後ろの方でしきりにかけ声をかけている客がいたなあ。随所で客は沸いていたので、師匠も満足してくれるといいと思う。

まず弟子のらく太が登場。ネタは「看板のピン」。この人は非常にいいものがあると思う。特に声が低く、この声でやくざの親分とという少し年のいった役(設定では62歳)を演じると非常にはまっている。この先がたのしみな落語家。

らく太が15分弱話して、志らく登場。落語界の説明ネタから入って、正蔵、三平をさんざんディスっていて、客はケタケタ笑っていた。わたしも大笑い。「海老蔵はうまいからいいけど・・・」って、そのとおりである。いろいろ枕をひっぱっておいて、話は「茶の湯」。これは志らく独自の工夫がかなりしてあった。最初に抹茶というものを知らなくてでっち上げるところは、「青黄粉で代用」ということになっているが、煎茶の葉を包丁で叩いて粉にして、泡が立たないのでせっけんを混ぜることになっている。包丁で叩くところのしぐさが、これまたうまかったりする。全部しっかり語って、約40分。かなり堪能した。

休憩15分を挟んで、緞帳が上がったらまた志らくが出てきた。今度は枕は早々に切り上げてすぐに「らくだ」を語る。この出来はとりわけすばらしい。死人をかついでかんかんのうを踊らせるところ、酒を飲んでいるうちに酔っぱらったくず屋がすっかり偉そうになって立場が逆転するくだり、最後に死体をかついでいくところ、語りだけではなく、全身を使う表現にものすごい迫力がある。これは音で聞くだけではわからない、実演がいちばん引き立つ芸である。

ツイッターをフォローしてみると、前日は三原、翌日は岡山で高座に上がるらしい。演目は前日になっても決めていないようだ。もう血肉になるほど身についているのだろう。いい芸が見られてうれしかった。終了後、てぬぐいかDVDを買った人にはサイン会があった。ぞろぞろ並んでいたから、やはり本当に好きな人が多かったのだろう。時間の都合でサインはもらいそこねた。ざんねん。

今度出る、「男はつらいよ」全作のDVDで、志らくが寅さん、さくらになりきり鼎談を演じているらしい。「男はつらいよ」はいまさらとも思うが、志らくの架空鼎談は見たい。最初の何巻かは買ってみようと思っている。