空と宇宙展 -飛べ!100年の夢―

「空と宇宙展 -飛べ!100年の夢―」、国立科学博物館

これは現在科学博物館でやっている展覧会。当然混んでいるだろうと思ったら、人少なっ。ほとんど人がいなくておどろいた。しかし一通り見てなっとく。これはあんまり「子供向き」の展覧会ではないのである。

今年が1910年に日本初の動力飛行が行われてから100周年なのでその記念ということなのだが、この展覧会では江戸時代の飛行への試みから、徳川大尉、日野大尉の飛行、帝大航空研究所、日本初のジェットエンジン「キ-20」開発、YS-11MRJ開発、宇宙開発と続く。

戦前の陸軍機の手彩色写真、「橘花」のエンジン「キ-20」の実物、「はやぶさ」の実物大模型など、けっこうみどころはいろいろある。にもかかわらず客が少ないのは、エンジンやプロペラの実物を見せられても、それが技術開発上どういう意味をもっていたのかについての説明があまりないので、知らない人にはまったくわからないからだと思う。

あんまり説明がくどくても読むだけになっちゃうかもしれないのだが、航空機開発の基本からていねいに説明してくれるともっとわかりやすい展示になったのに、と思うとざんねん。また、戦後の航空開発について、ほとんど民用機しか取り上げられていない(PS-1/US-1とか、いくつかの防衛用プロジェクトにも言及されているのだが、それでも圧倒的に分量が少ない)のも不満。戦後日本の航空産業を支えたのは防衛部門だったのだから、そこはもうちょっとちゃんと説明しないと。

宇宙開発も、外国の開発状況との対比とか、日本の宇宙開発戦略とか、そういうところをもうちょっとていねいに説明してくれたらなあと思う。もともとわかっている専門家にはこれでもたのしめると思うが、そういう知識のない人にはちょっと敷居が高い。せっかく貴重品をたくさん集めてくれているのに、もったいない。