宇宙大作戦 タロス星の幻怪人 前後編

宇宙大作戦」 「タロス星の幻怪人」前後編

最近、スーパードラマチャンネルで「宇宙大作戦」の再放送をやっているのだが、月曜日から金曜日までのベルト放送なので当然全部見る余裕はなし。でもこの回はどうしても見たかったので、見てしまった。このシリーズは小学校の時から見ているが、このエピソードが一番印象深い。

やはり見れば見るほどよくできている話。命令に従わず、謎めいた行動をとるスポック、軍法会議という緊迫した設定、タロス星から送られてくる幻想の映像、シリーズ唯一の前後編だけのことはあり、非常に高い完成度。

原題のThe Menagerieというのが、サーカスなどの動物園という意味だというのは、調べてはじめてわかった。なるほど、動物園という設定で「人間とはどういう生物か」を考えるという話だったわけですね。

最後のタロス星人の台詞「パイク大佐はたとえ幻影であろうとも幸せを手に入れました。あなたの現実にも幸あらんことを」が圧倒的に決まっている。そもそも、パイク大佐は昔の時点では子孫を作るための標本としての価値はあったが、事故で植物状態になってしまったパイク大佐には、もはや標本としての価値は皆無でありタロス星人にとって娯楽でしかない。この手の込んだお芝居は結果としてはパイク大佐の残された人生に幻影の幸せを与えるだけの目的でしかないのだが、それにスポックとタロス星人が実利皆無で協力してしまうところが、このエピソードを「ちょっといい話」にしているわけですね。

カークに「最近きみは感情に支配された行動をとりがちだぞ」と皮肉られて、「侮辱はやめてください。今回の私の行動はすべて論理に裏付け」と言い訳しちゃうスポックが可愛い。しかし考えてみると、スポックはこれだけ有能なのに13年前から昇進しないでずーっと中佐、副長のままである。まあスポックも、宇宙艦隊の人事にはやりきれない不満を感じていて、たまにはこういう行動に出てしまうのではないかと勝手に邪推してしまうのでした。スポック大好きだよスポック。