将軍 SHOGUN

「将軍 SHOGUN」(ミニシリーズ版)、リチャード・チェンバレン島田陽子三船敏郎ほか出演、ジェリー・ロンドン監督、アメリカ、1980

これは「ファミリー劇場」で、放送30周年記念の再放送があったものを録画して見た。通しで見るのは確か三度目くらいか?

DVDが発売されているようなので、そちらの構成を見ると5話編成(1話と5話が3時間の特別編。ほかは2時間あまり)となっているが、今回放送されたのは8話構成(1話と8話は同じだが、2~7話は45分ずつ)になっている。放送は1、2~4、5~7、8の4話構成で行われたので、けっこう見るのがたいへんだった。まあ、おもしろいので一気に見られるんですが。なお、このDVD版は、ファミリー劇場で放送された日本版とは異なるようだ。1話のはじめの方で、目黒佑樹が村人を斬るシーン、DVD版(アメリカ放送版)では首が落ちているとのこと。日本版では首が落ちるところはない。

キャストは、三船、島田のほか、金子信雄フランキー堺切腹シーンは、大河ドラマ太平記」の長崎円喜と並ぶ名演)、目黒佑樹、高松英郎宮口精二といったあたりから、宅麻伸とかきくち英一、喜多川美佳(三船の内妻)といった人々も出ている。外国人キャストはブラックソーン役のリチャード・チェンバレン以下、名前を知らない人ばかりだが、どの役もあたりだと思う。

このドラマ、衣装やセットに違和感はないのだが、今回よく見ると、どうも時代物としておかしいところがけっこうあることに気がついた。一番気になるのは台詞。「こんにちは」「はい」「いいえ」「○○さん」といった現代語が頻出する。しかも、全部それで統一されているわけではなく、三船敏郎は普通に時代劇調の台詞を話しているのである。これについては、三船敏郎と監督の間でひともんちゃくあったらしい。
http://members.jcom.home.ne.jp/kzogi/shogun.htm

まあ三船敏郎としては、時代劇でそんな変な台詞がしゃべれるかということなのだが、ほかの日本人キャストは現代語台詞を話すだけでなく、場面によって時代劇調台詞を話している部分がある。あと、外国人が日本を見るときの、ありがちな誤解、日本人は何かあるとすぐに人を斬り殺したり、自殺したりするとか、女は完全に夫の奴隷扱いとか、今だと変だなあと思うところが多い。まあこの辺は日本制作の映画でも昔のものはおかしかったりするので、1980年では仕方ないかと思うこともあるが・・・。しかし、いくら日本に火葬の習慣があるからって、まりこの遺骸を輿に乗せて炊きあげるというのはないだろう。護摩供養じゃないんですから。

話そのものはおもしろいので、サクサク見られる。戦闘場面がほぼないのに、ちゃんとした戦国時代の話になっているところもえらい。ブラックソーンとイエズス会士らの暗闘エピソードもおもしろい。ただ、よくわからないのが、最終話、矢部がまりこを暗殺しようとする忍者を城中に引き入れるくだり。なぜ矢部はそんなことをしなければならなかったのか?矢部は実は石堂に通じていたということ?まあ、ほかにもイミフな展開はいくつもあるのだが・・・。

これはなんといっても島田陽子の代表作。三船敏郎は名作にいっぱい出ているからこれはどうでもいいだろうが、島田陽子は、これと「犬神家の一族」「白い巨塔」(フジテレビ版)が一番よかったと思う。このシリーズ再放送にあたって、15分間の特集番組が組まれ、それに現在の島田陽子が出演していたのだが、年は取ったとはいえ十分美しいので驚いた。日本人キャストの台詞は全部日本語なのだが、島田陽子だけは通訳という役柄なので、ほとんどすべての台詞が英語でたいへんだったらしい。それにしても、1953年生まれ、57歳にしてこの美しさ。この人もいうところの「お化け」のようだ。