機長の仕事

大村鑛次郎『機長の仕事 42種の飛行機を操縦したパイロット』、講談社、2002

著者は1933年生まれ、慶応大学から航空自衛隊に入り、1962年に日本航空に入社、1993年に退職するまでパイロットを続けた人。

戦闘機から旅客機、4発機だけでもDC-6,DC-8,コンベア880,B-747、といろいろ乗っている。コンピュータが発達する前の操縦の様子や、訓練の実態、気候の変化と操縦の苦心といったことがいろいろ書いてあり、読んでいて飛行機操縦の難しさが伝わってくる良書。

特に著者の安全性に対する深い配慮がよく伝わってくる。操縦が上手というだけではなく、多くの勉強と経験、注意深い姿勢がなければ多くの客を乗せて常に安全に飛ぶということはできないというメッセージがひしひしと伝わる。

操縦席にベルX-1のパイロット、チャック・イェーガーが訪ねてくるエピソード(昔は機長の許可があれば操縦席に入ることが出来た)はちょっと感動的。読後感もさわやか。