蒲田行進曲(1983)

蒲田行進曲」(前後編)、大原麗子沖雅也柄本明ほか出演、TBS、1983

1983年TBS制作のテレビドラマ版「蒲田行進曲」。これが映画バージョンと違っているのは、脚本だけでなく、演出をつかこうへい自身がやっていることである。場所も京都の撮影所ということになっている。

キャストは小夏が大原麗子、銀四郎が沖雅也、ヤスが柄本明。他の役者も含めて下手な人はいない。特に大原麗子は、映画の松坂慶子よりいいかもしれない。松坂慶子ほど派手さがない代わりに、売れなくなった女優の湿っぽさが非常によく出ている。それにしても最近の松坂慶子の太り方は普通ではないが、どうしたんだろう。

沖雅也柄本明は文句なし。沖雅也はこれが自殺前の遺作らしい。柄本明は若いわー。30年近く前なのだから、あたりまえだが。小夏を田舎に連れて行った後で、ネチネチと小夏をいびるところは特に上手い。まあ柄本明は何をやっても上手いが。映画の平田満とはまた違ったヤスでいい味が出ている。

演出はつか自身がやっているのだから当然だが、沖雅也柄本明のからみがくどいほどしつこく、非常に舞台っぽい。階段落ちの場は、柄本明が実際に落ちてるように見えるが・・・。ほんとかなあ。

いろいろ見ていておもしろいところは多いが、全体の出来はやはり映画版には及ばないか。といってもわたしは舞台で上演されたものを見ていないので、そちらと比べてみたかった気はする。