見仏記 ゴールデンガイド篇

いとうせいこうみうらじゅん『見仏記 ゴールデンガイド篇』、角川書店、2009

見仏記の新作が出ているというのは、これを図書館で見つけてやっと知った。「ゴールデンガイド篇」というのはなんのことかといえば、この本の元企画をウェブに連載していた当初は、メジャーな寺を紹介することになっていたので、そう言っていたらしい。

確かにはじめの部分では、長谷寺、新薬師寺醍醐寺清水寺平等院ほか、メジャーなお寺が並んでいる。しかしそのうち福島県和歌山県兵庫県のマイナーなお寺をまわるような、元の路線に戻ってきて、これまでの見仏記と同じような感じになっている。まあ、読んでいる方はそれでいいのである。メジャーな寺のメジャーな仏像を紹介している本はすでにたくさんある。

仏像めぐりの本といっても、仏像の本というよりは仏像めぐりの旅の本なので、マイナーなお寺を見て回ることがどんなものなのかが半分くらい。マイナーなお寺は拝観に事前予約が必要だったり、そもそも拝観自体を断られたりすることがけっこう多いのだ。寺に行くにも、車を使わないといけないようなところにあり、一日に4カ所回るのもむずかしい。

京都や奈良で有名寺院しか回ってないと、こういうことはなかなかわからない。お寺によっては、二人の顔を知っていて歓待してくれたりしているが、基本的にはカメラもないのでたんなる参拝客扱いである。それでも、少ない客を歓待してくれるのだから、お寺というのはありがたいなあと思う。