新・資本論 僕はお金の正体がわかった

堀江貴文『新・資本論 僕はお金の正体がわかった』、宝島社新書、2009

対談形式の本。井上トシユキとの対談なのだから、堀江の単著にしてあるのはおかしいのでは?ホリエモンは、相手が自分の言っていることをわかってるという前提で、どんどん話を進める人なので、対談形式だと相手が誰かと言うことは非常に大事だと思うが。

論旨は、シンプルなことで「お金とは信用」「だから、お金を貯めようとせずに、自分の信用を上げることに投資する方が賢い」「貯金とか、住宅を長期ローンで買うとか、生命保険に入るとか、割が合わないからやめなさい」という話。

まあ言われてみればそのとおりで、起業できる人はもともとお金があるというよりは、人間関係をちゃんと作っているからできるのだ。お金は信用に付随する、というか、信用を数値化したものがお金なので、順番としては、お金を貯めるということを考えるより、信用を築いてそれに基づいてビジネスをやれという主張は理にかなっている。

しかし、この本の読者(の多く)にとっては、あまりぴんとこない、というか、有効性のない話だとも思う。組織労働者の多くは、人間関係に投資して、自分でリスクをとってビジネスをやるということが基本的にめんどくさいし、やる気がないからそうしているだけである。少なくとも日本ではそう。

それが日本に特殊な問題なのか?だとしたら、長く続いた社会慣習のせい?教育?単なる戦後成長期の残滓?そのへんはよくわからない。ホリエモンはそういうことにはあまり興味がなさそう。

この本、図書館で予約してから来るまでに4ヶ月くらいかかった。薄い本ですぐに読めるのに。ホリエモンの本が読みたい人は何にひかれているのだろう。そっちのほうが気になる。