グーグル革命の衝撃

NHKスペシャル取材班『グーグル革命の衝撃』、新潮文庫、2009

2007年に番組の取材をもとにして出した本の文庫化。データはアップデートされているが、こういう問題についての本なので、「最新事情」を追いかけるのはなかなかむずかしいだろう。

といっても、グーグルの会社の内部、検索広告を中心とするビジネスモデル、検索結果を人為的に上げようとする人たちとグーグルの競争、といったことについては、当事者にていねいにあたって書いていて、問題がよくわかるようになっている。

グーグル八分」問題もアメリカで起こされた訴訟とそこでの原告側、被告側(グーグル)の主張をひいて、問題の所在が説明されている。といっても、ここはちょっと突っ込みが甘いと思う。またグーグルの巨大性が問題の基本にあるということはわかるのだが、なぜ他社がグーグルに追いつけないのか、あるいは特定の国ではグーグルが検索エンジンのトップシェアをとっていないことがある理由は何か、といった問題ももっと追及してもらいたかったと思う。

とはいえ、NHKの取材力でグーグルとその問題をコンパクトにまとめた良書であることは確か。引用してあるサイトをNHKのサイトにまとめて掲載してくれていたりすると、もっと親切だったろう。