旅で会いましょう。

グレゴリ青山『旅で会いましょう。 大人の週末バックパック』、メディアファクトリー、2001

この人のマンガは、古本屋のバイト日記、『ブンブン堂のグレちゃん』しか読んだことがなかったのだが、本業はこちら。旅行マンガの方だというのは、これを読んでわかった。

「昔はお金がなくて時間があったので長期の貧乏旅行ばかりしていたが、最近は逆にお金はあって時間がない状態になってきたので、短い旅をすることにした」とのこと。しかし、著者の方針として、観光地や名所めぐりとかはしないらしい。食べる、温泉やら銭湯に行く、現地の人と知り合いになって何かする、という旅。

それだったら、当然いろいろ言葉が話せるのだろうと思ったら、ほとんど話せないらしい。実際、使っているのは簡単な英語だけで、後は食堂のメニューがちょっと読める程度の韓国語とか、その程度ですませている。そういう人が短期の旅で、どんどん現地の人とコミュニケートできるのはなぜ?たいていは相手が日本語を話しているが、そんな人とどんどん知り合いになれるということがなかなかないような気がする。

自分の旅といえば、食事やお風呂は好きなのでいろいろまめに探すが、後は名所とか美術館、博物館みたいなところしか行かない上、思い起こしてみると現地の人と話したこととか、思い出すほうがたいへんだ。確かに下手な英語以外の言葉は話せないけど、根本的にコミュニケーションの能力が違うらしい。

3泊とか4泊くらいの旅だが、内容はとにかく濃い。これだけ濃い旅をしていればそりゃマンガも描けるだろう。行っている先は近場。ウラジオストック、大連、上海、台湾(いろいろ)、韓国(いろいろ)。読んでいると自分もとても旅に行きたくなる。特にウラジオストックと富山の伏木港を往復する定期航路、とてもよさそう(船はボロそうだけど)。著者は船に乗るだけが目的なので、現地滞在ほとんどなしで帰ってきているが、ちょっと現地滞在するとなると前日に富山近辺に泊まらなければならないことも考えると、5日は要りそう。それだけ時間があれば、ほかにいろいろ行きたいところもあるし、うーむ。