まぼろし探偵 1話

まぼろし探偵」 1話 「謎の怪電波」、加藤弘、天草四郎ほか出演、近藤龍太郎監督、折込広告社、1959

スチール写真だけは見たことがあった、「まぼろし探偵」。ホームドラマチャンネルで放送が始まったのでとうとう実物を見られることに・・・。実物は、まあすごいというかなんというか、ツッコミどころ満載でまったく目が離せない。

まず日の丸新聞少年記者、冨士進くんことまぼろし探偵である。マスクが怪しすぎ!というか、まぬけすぎ!普通に目の部分に穴をあけるだけでいいのに、なんともいえない珍妙な姿に・・・。桑田二郎のマンガは別におかしくないから、テレビにする時点でなにか間違えたのである。

それに主題歌。「赤い帽子に 黒マスク 黄色いマフラー なびかせて」と言われても、白黒なのでわかりません。マンガのカラーリングは確かにそうなんだけど。メロディーも一度聴いたら耳に焼き付くような強烈さ。作曲は渡辺浦人。やはり大物は違う・・・。しかしお金をけちったのか、劇中の音楽は、ホルスト「惑星」、レスピーギ「ローマの松」等々の流用ばかり。画面のまぬけさとオーケストラのアンバランスに開いた口がふさがらない。

他のアイテムも、空陸両用車「まぼろし号」(絶対飛びそうには見えない)、電波ピストル(いくら見ても撃っているのかいないのかがわからない・・・)、悪役「げんこつ党」(げんこつの絵に「党」と書いてある・・・)とKKKのマネにしか見えないその変な扮装、アマチュアでももうちょっとましに撮るだろうと思える最悪なカメラワーク、ちゃんと場面がつながっていない編集ほか、すごいものだらけ。ついでに、都電や車種のわからない車、街の風景もみどころ。

再放送はほとんどされていないと思うが、子供の時に見ていたらトラウマになったかもしれない。こういうものが見られるとはありがたい世の中になった、と天に感謝。

そういえば進くんのお友達として吉永小百合が出ている。「キューポラのある街」が1962年、これはデビュー後まもない時期、14歳での作品。ついでに藤田弓子も新聞社の給仕役で出てきた。2話も見るかなあ。