美女と液体人間

「美女と液体人間」、佐原健二白川由美平田昭彦ほか出演、本多猪四郎監督、東宝、1958

12月に日本映画専門チャンネルでやっていた東宝変身人間ものの録画を今頃見られることに・・・。

タイトル場面は核実験の映像に続いて、話の発端になる液体人間のいる廃船に漁船が近づいていくというつながりなのだが、佐藤勝作曲のやたらテンションの高いマーチが・・・。この曲は最後の場面でも流れているのだが、場面と音楽がぜんぜん合ってないですよ。おかげで映画の恐怖感はかなりなくなっている。製作側にとってはあまり結構でない話だと思うが。

白川由美はクラブのダンサーで、その恋人が麻薬取引に関わっていたギャングだったことから、警察に目をつけられるはめに。警察の捜査官は、平田昭彦の捜査課長をはじめ、小沢栄太郎の部長刑事、土屋嘉彦の刑事ほか、豪華な顔ぶれ。そこに放射能で人間が溶けるんだといいつのる助教授の佐原健二が現れて、警察にうざがられる。佐原健二平田昭彦は大学の同級生という設定。

そのうち警察が張っている目の前にドロドロの液体が現れて、ギャングの片割れとか、ダンサーのおねえさん、それから土屋嘉彦まで溶けてしまう。これで大騒ぎになり、液体人間を始末するために下水道にガソリンを流して焼いてしまえという乱暴な作戦がたてられる。生き残ったほうのギャング、佐藤允白川由美を人質にして下水道に逃げるが、液体人間にあっさり溶かされてしまい、液体人間もガソリン作戦のおかげで焼かれてしまうのでした、という話。

佐原、平田の東宝特撮ゴールデンコンビはかっこいい(特に平田捜査課長のスーツ姿はいい)。白川由美はきれいでナイスバディー。人間が溶けるところはなかなか気持ち悪くてよい(佐原の実験でカエルが溶けるところは、あんまり溶けているようには見えないけど)。

しかし、それ以外はいまいち。そもそもあまり怖くないし。感じとしては、ドロドロの液体が人間を襲うところは「人喰いアメーバの恐怖」に近く(制作は本作の方が早い)、下水道に逃げたモンスターを大作戦で焼いてしまうところは「放射能X」に近い(これは本作の方が5年ほど遅いので、おそらくパクっているはず)。違いは、「人喰いアメーバの恐怖」「放射能X」は本当に怖かったけど、これは大人になって見ているからという理由ではなく、基本的に恐怖感を覚えないつくりになっていること。

下水道作戦の部分はそれなりにかっこいいのに、映画全体としての出来は残念賞。それに下水道に大量のガソリンを流して火をつけたおかげで、街中大火災になってるけど、いいのかな。映画的には、絵になってるのだが、これはしゃれになってないでしょう(放射能Xでは、ちゃんと火炎放射器を持った軍隊がモンスターを一匹ずつていねいに焼いていた)。